元大関の肩書を嫌う男! 正代 2020年3月場所12日目 白鵬戦
白鵬の晩年であり、全盛期とは違ってかち上げや張り差しを多用していた。そしてこの相撲でも白鵬は立ち合いで右から張り手を見せた。しかし正代は張り手を読んでおり、当たった瞬間に首を右に向け、張り手をかわした。すると頭に血が上った白鵬派から右から張り手を何度も繰り出した。その後白鵬のいなしに乗じて正代が懐に入ると二本差し、最後は両廻しを取って寄り切った。
張り手は普通は脇が空くので対戦相手にとってはチャンスとなる。しかし白鵬は張り手で墓穴を掘ることはほとんどなかった。このあたりは流石大横綱である。
しかしこの一番だけは違った。張り手を頭に入れておくだけでなく、首を傾けたあたりがいかにも正代らしい。二度使える手ではないかもしれないが、改めて相撲の奥深さを思い知らされた。また白鵬が張り手で自滅した数少ない相撲でもある。残念だったのがこの場所は新型コロナが流行し始めた頃であり、無観客開催だったことである。お客さんが入っていれば番狂わせということで館内が大いに盛り上がったに違いない。それにしても正代の張り手対策はお見事の一言に尽きる。
続く
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