2021年7月場所個別評価 一山本

 今場所は東前頭17枚目で新入幕の場所だったが8勝7敗で勝ち越した。前半戦は好調であり、小気味良い突き押し相撲で白星を重ねた。そして9日目に7勝目を挙げ、勝ち越しまであと1勝とした。しかしそこから5連敗。なかなか勝ち越しが決められなかった。それでも千秋楽は千代ノ皇を送り出しで破り、勝ち越しを決めた。

 一山本は北海道出身で二所ノ関部屋所属であり、年齢は27歳である。そして突き・押しを得意としている。中央大学出身で卒業後は公務員になったが大相撲への熱意が再燃し、入門している。こういった曲折を経て入門した力士は得てして志が高い。また身長187センチ、体重133.5キロであり、手足も長い。そして相手を見ながら相撲が取れるタイプであり、相撲センスも持っている。入幕した時点で入門したのは間違いなく、成功だったと私は思っている。

 内容に関しては今場所は突き離してから右四つに組む相撲が多かった。特に良かったのが7日目の大奄美戦である。右四つ得意の大奄美相手に組んだ時はどうなるかと思ったが左上手を与えず、相手が巻き替えに来たところを寄り切った。やはり右四つの相撲にもある程度の自信を持っていそうである。突き押し一本の力士ではない。そして3日目の豊山戦は突き押しの後の引き技で破ったが、内容的には相手を呼び込むような引き技であり、良かったとは言えない。しかし相手の動きはしっかり見ており、突いた後に引くというのが一山本の勝ちパターンの一つである。自覚していると思うが軽量力士なので先ずは先手を取って攻めたいところだ。

 9月場所は入幕2場所目となるが、力士としての底力が問われそうである。対戦相手も研究してくるので今場所のように簡単には勝たせてくれないと思う。やはり増量と突き押しの威力の強化が求められる。同部屋にはベテランの松鳳山がおり、相撲のタイプも似ているので参考になるはずである。また相手の動きを見て自分の動きを変えられる器用な力士なのでその持ち味を活かしたい。スピードもあり、今後が楽しみである。