2024年3月場所を振り返って 優勝争い 12日目 尊富士ー豊昇龍戦 大の里ー琴ノ若戦

 12日目は尊富士は豊昇龍戦が組まれた。勝てば大鵬の新入幕の連勝記録を抜くこととなり、注目が集まった。相撲は尊富士が左を差し、右はおっつけの形で一気に寄った。しかし豊昇龍は当たってすぐに右へ体を開くと上手は取れなかったものの小手投げで尊富士を転がした。これで尊富士は初黒星となり、大鵬の新入幕の初日からの連勝記録更新は成らなかった。

 豊昇龍は大関として意地を見せた。そしてこの一番に関しては内容ではなく、結果として勝たなければいけない一番だった。持ち味であるスピードと対応力の高さで新入幕の挑戦を退けた。一方負けた尊富士は内容は決して悪くなかった。結果論だが豊昇龍の方が一枚上手だったということだと思う。左を差して一気に出るのが自身の相撲であり、前に出ての黒星ということで悲観することはない。気持ちを切り替えて残り三日間に備えるだけである。

 そして結びは2敗の大の里と琴ノ若の取組だった。尊富士が負けており、大の里が勝てば星一つ差となる。また先場所は大の里のもろ手を琴ノ若に受け止められており、先場所負けたことを踏まえて大の里がどう相撲を取るか注目していた。

 相撲は大の里のかち上げを琴ノ若が受け止めた後琴ノ若が右へいなした。その後大の里が右を差して一気に前に出たが琴ノ若が左からの小手投げで危なげなく料理した。

 琴ノ若は大の里のかち上げを読んでおり、冷静に対処した。こういった相撲をコンスタントに取れるかが今後の課題である。一方負けた大の里は琴ノ若の横への動きに対応できていなかった。また琴ノ若に馬力を吸収されていた。2回の対戦を観た限りでは大の里にとって琴ノ若は高い壁として立ちはだかりそうである。右差しではなく、離れて取る相撲に活路を見出した方がいいかもしれない。

 結局大の里も敗れたので尊富士との星の差二つは変わらずとなった。12日目終了時点で1敗が尊富士、そして3敗が豊昇龍、琴ノ若、大の里、豪ノ山の四人となった。

続く