2026年7月場所個別評価 藤凌駕

 今場所は東前頭9枚目だったが10勝5敗の好成績だった。序盤から白星が先行し、前半戦は5勝3敗で折り返した。そして後半戦は10日目から連勝し、14日目は差し違えで隆の勝に勝ち、10勝目を挙げた。しかし千秋楽は朝紅龍に敗れ、敢闘賞受賞を逃した。それでも愛知県出身力士がご当所場所を幕内で迎えるのは玉飛鳥(現・大嶽親方)以来13年ぶりであり、大歓声の中で期待に応えるとともに幕内前半戦の土俵を盛り上げた。

 内容に関しては出足と馬力を生かした押し相撲で白星を挙げていた。3日目の朝乃山戦は朝乃山の右差しをこらえたが差されると同時に左上手を取った。そして寄り詰めたものの寄り返されると左上手を離して右に下がって振りほどいた。その後腰が入った朝乃山を押し倒した。朝乃山の寄りをこらえたという部分で好内容だった。また4回目の対戦で対朝乃山戦初勝利となった。6日目の若ノ勝戦は先場所同様激しい突き合いと押し合いとなったが、最後は両ハズから押し上げると若ノ勝が崩れ落ちた。若ノ勝の怪我は残念だったが、真っ向勝負の好内容だった。そして7日目の千代翔馬戦は押し合いの後千代翔馬が転がりながら這わせたが物言いが付いた。スローで見ると藤凌駕が付きそうになった左手をさっと引いており、軍配は千代翔馬に上がったものの同体取り直しとなった。そして取り直しの一番は左から張られ、押し込んだところで右から張られたものの動じず押し出した。張り手の挑発に乗らず、落ち着いて自分の相撲を取った。

 また千秋楽は土俵際で朝紅龍に上手く左に回り込まれての黒星となったが、気にすることはない。今は前に出る相撲を取ることが大事であり、経験を積んでいけば全く問題ない。先を見据えた稽古で力を付けていきたい。

 場所後の夏巡業は上位力士やベテラン力士から指名され、鍛えてもらったようである。大卒だが相撲の完成度は高くなく、伸びしろが見込めるので非常に楽しみである。

 9月場所は再度の自己最高位となり、西前頭4枚目となった。上位力士との対戦も見込める位置であり、できれば白星先行で上位力士とぶつかる流れに持って行きたい。また結果は気にせず、本場所の土俵で役力士の力を肌で感じて欲しい。それだけで勉強になるはずである。また愛知県出身力士は現時点では他に有望な力士は見当たらず、地元を背負っていく覚悟で頑張って欲しい。