2021年5月場所個別評価 白鵬

 一人横綱となったが3月に受けた右膝の手術の影響で全休した。これで6場所連続休場となり、年6場所制が定着した昭和33年以降、横綱としては史上3番目の長期休場となった。また幕内での休場日数が238日となり、3月場所中に引退した鶴竜を抜いて史上1位となった。伊勢ヶ浜審判部長は「ここまで休まれると期待はこの先もできない。そう思うのは当たり前。誰もがそう思う。」と苦言を呈していた。本人は7月場所で進退を懸けると明言している。

 振り返ると今年1月場所前にコロナ陽性で全休したのが痛かったと個人的には思っている。1月場所休場したことで筋力が更に落ち、復帰が難しくなった側面もあると私は考える。何も大相撲に限ったことではなく、スポーツ全般として練習が全てではなく、実戦で鍛えられる部分もある。相撲でいえば稽古だけでは十分ではない。それだけ本場所を休場するということは重たい判断である。

 さて7月場所の出場を本人は明言しているが私は休場すると見ている。過去の横綱を見ても進退を懸けるのは地方場所ではなく、東京場所で迎えるのがほとんどである。そして7月場所は2年ぶりに名古屋で開催される。地方場所ということで心身にかかる負担は大きく、7月なので暑さとの闘いにもなる。加えて国技館が使えないので場所前の合同稽古も行われない。ということで7月場所は避け、9月場所に進退を懸けるのではないかというのが私の見方である。

 しかし本人が仮に7月場所を休場したとしても協会や横審が認めるかどうか?。その時点で「引退勧告」が決議される可能性もある。また土俵では大関とはいえ照ノ富士が横綱レベルの役割を果たしており、伊勢ケ浜審判長が言うように期待はできない。いずれにしても本人の動向、そしてそれに伴う協会や横審の動きに注目したいところだ。