2022年9月場所個別評価 竜電
今場所は西前頭12枚目で久々の幕内での土俵となったが11勝4敗の好成績だった。序盤は1勝4敗と黒星が先行した。しかし6日目からは全て白星を並べた。優勝争いには絡まなかったので好成績の力士との対戦はなかったものの、結果的には若隆景、高安に並ぶ優勝次点となった。
内容に関しては序盤に関しては相手の攻めを止められず、土俵の外に出されているという部分で心配なところもあった。しかしその後は相手の攻めを止めるだけでなく、立ち合いで前廻しを取るなど厳しい攻めが見られた。そして攻めも多彩であり、得意の左四つからの前に出る相撲だけでなく、逆の四つに組む相撲や投げ技もあり、そのまま押す相撲も見られた。さすがは元三役経験者である。前に出る圧力だけでなく、技も持っており、十両で取る力士ではない。8日目は新入幕の平戸海戦だったが相手は右四つが得意であり、けんか四つの攻防となった。そして二本差されたものの右はおっつけ、そして左は抱えながらじわじわ寄ると最後は右からの小手投げで転がした。力強い相撲だった。11日目の栃ノ心戦は同期生対決となったが相手の右からのかち上げに怯まず、右のど輪から右を深く差し、左前廻しを取るとそのまま寄り切った。栃ノ心得意のがっぷり四つに組ませず、相手に力を出させなかったという意味で好内容だった。そして13日目はまだ一度も勝ったことがない遠藤との一番だったが立ち合いから左を差すと右はおっつけながら上手を取り、低い体勢から出し投げを打ち、相手を横に向かせるとそのまま寄り切った。連勝中で体の動きも良く、流れるような攻めだった。また不祥事明けということで気持ちを新たにして相撲を取っていた印象である。小細工は全くなく、自分の相撲を取ることに集中していた。その結果の好成績だったと私は思っている。もっとも実力を考えれば平幕下位での二桁勝利は当然なのだが。
来場所は大幅に番付を上げるが、再度の勝ち越しを期待したい。相手の動きを止められるかがポイントである。四つに組めば技の引き出しはたくさん持っており、自分のペースで相撲が取れる。まら来場所は三役復帰に向けても大事な場所となるので頑張って欲しい。