2026年7月場所個別評価 湘南乃海

 今場所は東十両6枚目だったが11勝4敗の好成績で初の十両優勝を果たした。前半戦は5勝3敗で折り返した。そして後半戦は連勝し、14日目終了時点で優勝争いで単独首位に立った。しかし千秋楽は軍配差し違えで時疾風に敗れ、4人による優勝決定戦となった。決定戦は初戦は朝翠龍、決勝は寿乃富士に勝ち、優勝を決めた。

 内容に関しては懐の広さを活かした投げ技と引き技、そして押し相撲で白星を挙げていた。2日目の欧勝海戦は当たってすぐに左前廻しを取られたが右上手を取り、寄り詰められたところを右上手投げで体を入れ替え、上手投げで欧勝海を裏返しにした。上手から振り回した相撲はスケールが大きく、魅力がある。6日目の翠富士戦はカチ上げから押し込み、左へ回り込まれたものの右からいなして泳がせると一方的に押し出した。左膝を痛めており、できればこの日のような前に出る相撲をもっと増やしたい。そして12日目の嵐富士戦は相手のぶちかましを受け止めると押し合いとなったが右からの叩き込みで這わせた。嵐富士はここまで1敗と好調だったが、格の違いを見せつけた。

 優勝決定戦に関しては何も考えずに無心で取ったように見えた。朝翠龍戦は朝翠龍のぶちかましを見透かしていたような取り口で叩き込んだ。そして寿乃富士戦は突き放そうとしたものの左下手を取られ、苦しい体勢に見えた。しかしここで終わらないのが凄いところである。右上手を取って振り回すと両上手を取り、寄られたものの右上手から体を振って入れ替えると寄り切った。差し違えによる黒星からさほど間を置かずの決定戦で気持ちの立て直しが大変だったと思う。しかし集中して相撲を取っており、精神面も高く評価できる。

 9月場所は5場所ぶりの幕内復帰となり、東前頭17枚目となった。幕内の土俵では2025年1月場所以降勝ち越しがなく、勝ち越せるかが焦点となりそうだ。やはり前に出る相撲をどれだけ取れるかである。懐の深さを生かした相撲も悪くないが、相手につけ込まれるリスクもあり、押して前に出る相撲を私としては期待したい。