2024年3月場所個別評価 平戸海
今場所は西前頭4枚目であり、自己最高位だったが9勝6敗で勝ち越した。前半戦は4勝4敗で折り返した。そして後半戦は10日目は霧島を下手投げで破り、対大関戦初勝利となった。その後は白星を伸ばすと14日目の宇良戦は下手投げで負けたかに見えた。しかし物言いが付き、宇良がマゲを掴んでいたということで反則となり、勝ち越しが決まった。そして千秋楽は大栄翔戦だったが初の「これより三役」の登場となった。緊張したと思うが相撲は引き落としで勝ち、懸賞金とともに矢を受け取っていた。
内容に関しては左前廻し狙いの相撲が多かったが対戦相手もそれは分かっており、前廻しは狙わずに押す相撲も見られた。やはり最大のハイライトは霧島を破った相撲である。立ち合いで霧島に右から張られるも構わず左を差すと右も差してモロ差しとなり、絶好の体勢となって寄り立てた。しかし霧島は足腰が良く、左右に振りながら寄りをこらえた。その後霧島に右上手を取られると動きが止まった。しかし左下手を深くして腰を落として前に出ると霧島の右上手投げをこらえながらも左下手投げを打ち返し、体を預けた。取組後本人も自信になりますとコメントしたように今後に向けて大きな白星となった。
しかしトータルで見ると一方的に負けた内容もあり、相撲にバラつきがあったのも確かである。体重139キロの軽量力士なので仕方がない部分もあるのだが、先に向けては負けるにしても抵抗して欲しいところだ。やはり三役を目指すにあたっては更なる地力の強化が求められる。
5月場所は番付を上げ、上位総当たりの番付となりそうだ。よって本人以上に上位力士からマークされることが予想される。しかし今場所は初めて上位力士と対戦した割には健闘しており、力を付けてきているのも事実である。来場所も自己最高位なのでまずは全力でぶつかり、力を試すような相撲内容を期待したい。