元横綱・曙の死去に関して 横綱昇進と今の相撲界の現状
さて曙に関して思い出すことの一つに横綱に昇進した頃が挙げられる。1993年1月場所で3度目の優勝を果たし、場所後の横綱審議委員会を経て横綱に昇進した。また外国出身初の横綱となった。それと同時に1992年5月場所から1993年1月場所まで5場所続いた横綱空位が解消された。当時は横綱空位が解消されて嬉しかった記憶がある。以前の横綱空位は戦前までさかのぼる必要があり、異例の事態だった。1992年5月場所前に北勝海が怪我のため止む無く引退したことが原因だが、空位の間はファンとしては寂しかったことを覚えている。やはり心のどこかで横綱がいないと締まらないというのがあったのだと思う。しかし当の曙は大変だったはずである。昇進後に元千代の富士に雲龍型の土俵入りを指導してもらい、明治神宮で奉納土俵入りをした時のことが忘れられない。当然だが他に横綱はおらず、お手本がいない。しかも外国人であり、戸惑ったのは容易に想像できる。しかし愚痴をこぼさず、日本人らしい心を持って横綱を務めたのは立派だった。また外国出身横綱の誕生ということで新時代の到来を予感させるものがあった。その後2年後に貴乃花、5年後に若乃花、そして6年後に武蔵丸がそれぞれ横綱に昇進した。また貴乃花が横綱に昇進するまでの約2年は一人横綱であり、責任が重くのしかかった。しかしその間に4回優勝を果たしており、横綱としての役割を果たした。この部分に関してはファンのためというよりも協会のためによく頑張ったというところである。
さて横綱空位の可能性があるのが今の相撲界の現状である。現在は照ノ富士の一人横綱が続いているが、横綱在位16場所中で9場所休場しており、二場所連続で結果を残すことが難しい状況である。腰と膝に爆弾を抱えており、今後も痛みと付き合いながらの土俵となりそうだ。また横綱候補としては豊昇龍と琴櫻が挙げられるが、すぐに横綱に上がれる状況ではなさそうだ。照ノ富士は体力的にきついかもしれないが、新横綱誕生までもうひと踏ん張りが求められる。個人的には横綱空位を避けるため、休場しても、マスコミや横審からから批判されても、新横綱誕生までは引退してはいけないと思っている。その点では照ノ富士にバトンタッチする形で引退し、横綱空位を避けた白鵬は偉かったと私は考えている。やはり照ノ富士の頑張りに期待するよりも、一日でも早く新横綱が誕生することを期待したい。
それでは曙と同じくハワイ出身力士を紹介したい。高見山、小錦、武蔵丸の三人である。
続く
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