2020年11月場所個別評価 千代の国
東前頭14枚目であり、再入幕の場所となったが10勝5敗の好成績で二度目となる敢闘賞を受賞した。場所前の稽古で右肩を痛め、大きなテーピングを施しての土俵となった。しかし初日から6連勝し、痛めた右肩の影響はほとんど感じさせなかった。その後7日目から連敗。そして10日目からも連敗し、優勝争いから脱落した。12日目は妙義龍を叩き込みで破り、幕内では10場所ぶりとなる勝ち越しを決めた。そして千秋楽は勝てば敢闘賞受賞という条件付きだったが琴恵光を小手投げで破り、三賞受賞を決めた。なお本人は取組直前に花道のモニターを見て知ったみたいだ。意識したら硬くなるので見なかったことにしたようだ。本来の動きの速い相撲で敢闘賞を手に入れた。
内容に関しては激しい突き押し相撲で白星を伸ばしていた。再入幕とはいっても4年以上幕内を務めており、復調してきたということだと思う。4日目の魁聖戦は左上手を取ると足を掛け、掛け投げで巨漢を転がした。突き押しが得意な力士だが、時に強引ともいえる投げ技を見せることがある。褒められた相撲ではないが、持ち味を発揮した相撲だった。
一方負けた相撲に関しては引いたところを相手につけ込まれる内容が目立った。引くのは悪くないが、相手に動きを読まれてしまっては仕方がない。また14日目の玉鷲戦ではなかなか立ち合いが合わなかったが一方的な相撲で押し出された。確かに玉鷲の立ち合いの当たりは強いが、攻められても土俵際で残すくらいの相撲は取って欲しかったところだ。玉鷲戦を観た限りでは完全復調したとまでは言えない。
1月場所に関しては平幕中位の番付が予想されるが勝ち越しを期待したい。そして本人が言うように目指すは三役である。年齢は30歳であり、9月場所は十両優勝を果たしているので勢いがあるのは確かである。また平幕上位の経験もあるので来年は三役を目標に頑張って欲しい。
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