大相撲11月場所個別評価 天空海

 西前頭16枚目で新入幕の場所だったが9勝6敗で勝ち越した。連敗スタートも3日目は十両の翠富士を叩き込みで破り、幕内初白星を挙げた。その後も連敗したが6日目からは連勝し、4勝4敗で前半戦を折り返した。そして後半戦は白星が先行し、14日目は琴恵光を叩き込みで破り、嬉しい勝ち越しを決めた。そして千秋楽も勝ち、9勝6敗で場所を終えた。

 押しと叩きが得意の力士だが、それに加えて同部屋の明生と豊昇龍との稽古で培った左四つの相撲が光った。素晴らしかったのは12日目の遠藤戦と千秋楽の徳勝龍戦である。遠藤戦は立ち合いで左は差したものの右上手は取れなかった。しかし右からのおっつけで遠藤の体が浮き、そのまま寄り倒した。非常に力強い内容だった。徳勝龍戦は右を差され、バンザイの形になったが首投げを打ち、物言いが付いた。しかし顔から土俵に落ちた執念が実り、逆転勝利となった。手を着いてしまいたくなるところだが、手を出さなかった勇気で白星を手に入れた。

 あとは6日目の佐田の海戦は時間前に突っ掛けたが佐田の海が応じなかった。そして土俵下の審判長から「合わせろ」という怒声が飛んだ。その後両者が立ち尽くし、再び審判長から「塩に行け」と怒声が飛んだ。最近は時間前に立つ相撲がほとんどないので一連の動きに思わず笑ってしまった。相撲は天空海が上手投げで勝った。また6日目の場所入りの車の中でダンプカーに追突され、病院で「鞭打ち」と診断された。しかし禍を転じて福と為すで、この日から4連勝した。6日目の立ち合いの件といい、地元茨城県大洗町の水族館「アクアワールド」ならぬ「天空海ワールド」を感じたのは私だけだろうか?いずれにしても掴みどころのなさが天空海の魅力の一つである。

 1月場所は番付を上げるが再度の勝ち越しを期待したい。ただ12月中旬に部屋でクラスターが発生し、新型コロナウィルスに感染したのが少し気になる。稽古に影響が出なければいいが…。年齢は30歳と若くはないが、若手の明生や豊昇龍との稽古で確実に力を付けている。立ち合いの圧力も増しており、更に上を目指してほしいところだ。