琴奨菊引退 その4

2024年5月13日

 その後は7月場所は左膝などを痛めて途中休場するなど苦しい土俵が続いた。そして2017年1月場所は歴代ワースト4位となる7度目のカド番となったが12日目に負け越しが決まり、32場所在位した大関から関脇への陥落が決定した。また負け越しが決まる前から師匠の佐渡ヶ嶽親方は関脇に落ちても引退させない考えを表明していた。才能ではなく、努力で大関に昇進した力士なので違和感は全く感じなかった記憶がある。本人も現役続行の意思があり、翌3月場所は10勝以上を挙げ、5月場所での大関特例復帰を目指した。しかし12日目に5敗となり、大関復帰に向けて後がなくなった。13日目は勝ち越しを決めたものの14日目は大関照ノ富士に立ち合いの変化からの叩き込みで敗れて6敗となり、特例での大関復帰がなくなった。

 翌5月場所、7月場所は関脇、小結の地位で7勝8敗で負け越したが、戦後大関陥落後に3場所連続で三役を維持したのは史上5人目である。また翌9月場所は平幕に陥落したが3日目に横綱日馬富士を破り、自身初となる金星獲得となった。金星とは平幕力士が横綱と対戦して勝利することである。このため、小結以上が横綱に勝っても金星とはならない。また不戦勝も金星とはならない。初土俵から94場所での初金星は昭和以降では4番目に遅い記録である。また大関陥落者で金星を手にしているのは彼以前には貴ノ浪、出島、雅山の3人しかいない。琴奨菊はその後2つ金星を挙げ、合計3つ金星を獲得した。

 2017年11月場所は小結に復帰したが6勝9敗で負け越し、再度平幕に陥落した。その後は三役には上がれず、平幕での土俵となったが、2桁の黒星は休場した2020年9月場所まではなかった。衰えてはきていたものの、安定感のある相撲内容で土俵を務めていた。

続く