2020年9月場所個別評価 琴勝峰

2024年5月22日

 東前頭12枚目という位置であり、入幕2場所目だったが10勝5敗の好成績だった。7日目までは6勝1敗であり、優勝争いのトップに並んでいた。しかし8日目から3連敗し、優勝争いから大きく後退した。それでも12日目に勝ち越しを決めると千秋楽は玉鷲を突き出しで破り、白星を2桁に乗せた。

 内容に関しては四つ相撲と押し相撲で白星を重ねていた。特に驚いたのが2日目の魁聖戦である。巨漢相手に得意の左上手を取られ、私は負けたと思った。しかし右から出し投げを打ちながら相手の体を起こし、最後は寄り切った。驚異的な身体能力である。身体能力の高さは分かってはいるのだがそれでも驚くレベルである。今場所でいえば碧山の叩きや徳勝龍の突き落としは決まっていておかしくなかったがそれでも残してしまう。徳勝龍は取組後珍しく顔をしかめていた。本人が言っていたが7月場所は相手に合わせて相撲を取りすぎたみたいだ。しかし今場所は雰囲気に呑まれなかったので10勝できたのだと思う。相撲を観ても相手の研究をしている感じではなく、それでも白星を重ねられるところに末恐ろしさを感じる。将来が非常に楽しみである。

 11月場所は再度自己最高位を更新するが勝ち越しを期待したい。また今のままでも番付は上げられると思うが先を見据えて立ち合いの当たりをもっと強くしたい。本場所の経験も大事だがやはり稽古場で意識して取り組んでほしいところだ。おそらく技術的な部分はこれから師匠の佐渡ヶ嶽親方が教えていくのだと思う。身長191センチ、体重156キロと立派な体格の上に手足が長い。また体の柔らかさ、馬力に加えてスピードも兼ね備えている。あとは怪我をせずに着実に番付を上げていってほしい。今後の成長を期待したい。