元横綱・曙の死去に関して 相撲の取り口 私が観た印象

・相撲の取り口

 長身を活かした突き押し相撲を得意としていた。またリーチの長さを生かしたのど輪押しは威力があった。若い時はのど輪で土俵際まで押し、そのまま吹っ飛ばすような相撲を取っていた。観ている方は気持ちが良かったが、やられた相手はたまらなかったと思う。また横綱になってからは膝の状態が悪化したため、もろ手突きから右四つに組み止める相撲を取るようになった。キャリアが浅い割には廻しを取る位置が良く、相撲にも安定感があった。

・私が観た印象

 今まで観てきた中でインパクトに関してはナンバーワンである。やはり身長203センチ、体重210キロと体が大きいだけでなく、手足が長かったので迫力があった。曙の先輩にあたる小錦も突き押しの威力は凄かったが、曙は突き押しで一気に運べたので印象度は曙の方がより強く残っている。また同期入門の若乃花、貴乃花の敵役的な役割を担っていたが、日本人でも曙のファンは一定数おり、私も若・貴よりも曙を応援していた一人である。そして応援していた理由は1993年に当時の藤島部屋と二子山部屋が合併したことが挙げられる。これにより新生二子山部屋の幕内力士は最大10人となり、同部屋の対戦はないということで面白くなくなるという部分もあった。また二子山部屋には若・貴だけでなく貴ノ浪や貴闘力、安芸乃島などもおり、二子山部屋の力士が優勝しやすい状況が出来上がっていたのも事実である。一方曙は孤立無援であり、二子山部屋の力士を敵に回してまとめて面倒を見ていた。

続く