2024年3月場所個別評価 阿炎

 今場所は三役復帰の場所となったが9勝6敗で勝ち越した。初日から二大関を倒すなど5連勝スタートを切った。そして前半戦は6勝2敗で折り返した。後半戦は9日目から連敗し、優勝争いから脱落した。しかし12日目は高安を押し出しで破り、三役では10場所ぶりとなる勝ち越しを決めた。内容に関してはもろ手からの突き押しと引き技で白星を挙げていた。また突き押しが得意なので好スタートを切ったことが勝ち越しにつながった感じがする。三役と平幕を行ったり来たりの土俵が続いており、三役で勝ち越せたことに意義がある。

 印象に残ったのが2日目の貴景勝戦である。阿炎が立ち合いから突き立てるも貴景勝が押し返して出た土俵際で左へ回り込んで左上手を取り、右足を浮かせての上手投げで貴景勝を這わせた。ポイントはやはり廻しを取ったことである。おそらく普段からこういった稽古をしているのだと思う。突き押しだけでなく、技の引き出しを増やしたおかげで手に入れた白星だった。

 一方で少し残念だったのが10日目の御嶽海戦である。立ち合いから左へ動いて上手を求めたが上手は取れず、逆に右を深く差され、掬い投げで転がされた。注文相撲だったが失敗に終わった。また御嶽海は元大関ではあるものの、今場所は西前頭10枚目まで番付を下げており、変化するような相手ではない。御嶽海に「ガッと来て欲しかった」と言われているようでは仕方がない。少なくとも上を目指している三役力士が取る相撲ではない。

 3月場所は二年ぶりの関脇となりそうだが勝ち越しを期待したい。看板力士に勝つことも大事だが、今場所活躍した尊富士や大の里など若手力士が台頭してきており、若手にどれだけ勝てるかも重要である。ただ考えすぎも良くないので誰が相手でも全力でぶつかっていくだけかもしれない。その中で一つでも多く白星を挙げ、存在感を示したい。