2026年3月場所個別評価 藤ノ川
今場所は自己最高位の東前頭2枚目であり、初の上位総当たりの番付となったが8勝7敗で勝ち越し、初の技能賞を受賞した。初日から役力士との対戦が続いたが、3日目は大の里、そして4日目は豊昇龍を破った。また横綱初挑戦から2日連続金星は12年ぶりの快挙となった。前半戦は3勝5敗で折り返すと後半戦は巻き返し、14日目に7勝目を挙げて星を五分に戻した。そして千秋楽は王鵬を掬い投げで破り、勝ち越すと同時に三賞も手に入れた。
内容に関しては頭でぶちかましてからの動き回る相撲で白星を挙げていた。やはり最大のハイライトは横綱戦である。大の里戦は突っかけた後2回目で立った。頭からぶつかり、右ノド輪、左おっつけから左へ回ると最後は左へ素早く飛び、大の里のつっかい棒を外すような形で引き落とした。また父が果たせなかった金星を手に入れ、親孝行をした。豊昇龍戦は張り差しをかいくぐって懐に入ると押し込み、押し返されたところで左へ下がっての叩き込みが決まった。また大の里の休場により結びの一番となり、初めての結びを白星で飾った。記念すべき2日連続金星となったが私的にはさほど驚いてはいない。軽量ながら鋭い当たりとスピードを持っているからである。稽古場では大の里に勝ったこともあり、流れ次第では勝てる可能性もあると見ていた。それでもやはり結果を出せるあたりは只者ではない。
そして素晴らしかったのは横綱戦だけではない。6日目の若元春戦は当たり勝つと両ハズで押し上げ、一方的に押し出した。9日目の熱海富士戦は右から張って二本差したものの熱海富士に左小手投げで振りほどかれると突き立てられた。しかし凌いで再び両ハズとなると叩きに乗じて押し出した。体格差があるにも関わらず廻しを与えなかったのは流石である。千秋楽の王鵬戦は当たって二本差したものの極められた後寄り詰められた。しかし土俵際で左から掬って王鵬を裏返しにした。当然粘りは凄いのだが、立ち合いで当たって先手を取っているからこそ逆転技が決まりやすくなる。また臨機応変に動ける上に相撲センスも持っており、今後も上位力士を苦しめることになりそうだ。
来場所は三役を懸けての場所となるが、それよりも自分の相撲を取ることに徹したい。軽量力士なので一歩間違えば一気に運ばれてしまうがそれは仕方がない。あとは相手の出方をうかがいながらどう作戦を組み立てていくか、また上手くハメるかといったところだと思う。そして上手くいけば今場所の横綱戦のような結果も十分考えられる。ただ裏を返せば上手くいかずに歯車が狂うことも考えられるので表裏一体である。やはり基本的には頭でぶちかまし、先手を取る内容を増やしたい。改めて幕内後半の土俵を盛り上げる力士の誕生は相撲ファンにとっても嬉しい限りである。
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