次の大関候補は誰だ? その5

2020年11月22日

 4人目は隆の勝である。隆の勝は千葉県出身で千賀ノ浦部屋所属であり、年齢は25歳である。身長183センチ、体重155キロであり、押しを得意としている。今年9月場所は自己最高位の西前頭筆頭で10勝5敗の好成績を挙げ、11月場所は新関脇となった。現在3場所連続勝ち越し中であり、伸び盛りの若手力士である。

 隆の勝の最大の持ち味は左右どちらからでもおっつけができることである。おっつけとは相手の差し手を封じるために、相手が差しにきたり突っ張ったりした時に、自分の肘を自分の脇に押し付け、手は相手の肘に外側からあてがって絞り上げる動きである。決まり手にはならないが、相撲技の中でも最も重要な技のひとつである。これが片方だと相手に攻め手を封じられることもある。しかし左右どちらからもできるので対戦相手も対処に苦労すると思う。私の中では左右どちらからでも強烈なおっつけができる力士は過去に記憶がない。その部分だけでも希少価値のある力士である。

 やはり2年前に旧貴乃花部屋の力士が移籍してきたことが大きい。大変だったとは思うが旧貴乃花部屋の力士は貴景勝、貴源治など負けん気の強い力士が多い。そして相撲に対する意識が高い。一方で移籍以前の千賀ノ浦部屋は小さな部屋であり、隆の勝の手本になったり、競争相手になるような力士はいなかった。それが貴景勝という手本となる力士がおり、稽古相手も増えたというのは隆の勝にとってはプラス面以外にない。今年3月場所は12勝を挙げ、初となる敢闘賞を受賞しているが、貴景勝のアドバイスの効果もあったみたいだ。貴景勝が相手の出方を予測し、それがズバズバ的中したと語っている。勿論隆の勝の才能があってこそというのは言うまでもない。

 新関脇に昇進したが幕内でのキャリアはまだ7場所である。そして上位力士を破っているが経験がまだ不足している。今は相手に自由に相撲を取らせてもらっているという段階である。11月場所は新三役ということで対戦相手も策を練ってくるものと思われる。また強くなるためにはもう少し揉まれる必要がある。その中で経験を積みながら強くなっていってほしいところだ。

 大関獲りに関してはまずは三役での2桁勝利が求められるが11月場所とは言わないが、いずれは可能だと思う。ただ欠点としては体が硬いことが挙げられる。土俵際での引き技に手をついてしまうことがよくある。ということで1場所2桁勝利を挙げてもそれが続くかどうかは現状では少し疑問符が付く。いずれも今年引退したが豪栄道と栃煌山は同学年のライバルだった。豪栄道は元大関であり、栃煌山は元関脇である。今も私は力量に差があったとは思わない。ただ豪栄道のほうが体に柔軟性があったので大関に上がれ、5年半大関を務めた。一方栃煌山は体が硬かったので三役で続けて好成績は残せなかった。そして押し相撲という点でも隆の勝と少し似ている。ということでまずは栃煌山を目指してほしいというのが私の意見である。三役に定着し、上位陣を常に苦しめる存在となって欲しい。あとは大関を目指すのであれば貴景勝を手本とするだけでなく、自ら考え、努力する必要がある。貴景勝に頼るだけでなく、押し相撲を探求してほしいところだ。個性的な力士なので今後も注目していきたい。

続く