2026年7月場所個別評価 朝翠龍

 今場所は東十両筆頭だったが11勝4敗の好成績だった。3連勝スタートを切り、前半戦は6勝2敗で折り返した。そして後半戦は12日目に玉鷲に勝って勝ち越し、来場所の新入幕をほぼ確実とした。終盤は星を伸ばして11勝とし、優勝決定戦に進出したものの、1回戦で湘南乃海に敗れ、優勝を逃した。

 内容に関しては叩き込みと肩透かしで3番ずつ勝っており、引き技で白星を挙げていた印象がある。特に十両上位力士との対戦が続いた前半戦で多く見られた。小兵の上に十両上位力士は立ち合いの当たりが強くなるので、自然に引く形になったものと思われる。それでも前に出ているからこそ引き技が決まっており、白星先行で折り返したことが勝ち越しにつながった。

 3日目の旭海雄戦は当たって浅いながらも懐に入ると機を見ての左肩透かしで旭海雄を土俵の外に出した。5日目の出羽ノ龍戦は当たって左を差すと右は差させずにおっつけ、動きが止まった。その後左下手を取ったものの出羽ノ龍が右から抱えて前に出た。それを嫌って振りほどいて体が離れるとすぐに左を差した後の肩透かしで出羽ノ龍を這わせた。粘り強い内容に館内からは大きな拍手が起きた。そして8日目は叩きのスペシャリストの友風戦だったが当たった後すぐに左へ体を開いての叩き込みを決めた。友風の頭には全くなく、流石の相撲センスを見せた。また勝ち越した後星を伸ばしたのも評価できる。貪欲な姿勢があるだけでなく、それだけの地力が備わっているということである。

 9月場所は新入幕となり、東前頭15枚目となった。また兄は幕内朝紅龍であり、史上14組目の兄弟幕内となった。もっとも能力はあり、いつ幕内に上がってくるかというところだったので驚きはない。兄との比較でいうと兄よりも体が一回り小さく、理にかなった相撲を取るタイプである。焦点は幕内力士の鋭い出足を凌げるかどうかだと見ている。止められれば勝ち越せる一方、止められなければ苦戦することも考えられ、このあたりはフタを開けてみなければ分からない。当然勝ち越しを期待したいが、体が小さいのでまずは怪我なく千秋楽まで務めて欲しい。