2022年1月場所個別評価 玉鷲 

 今場所は8勝7敗で勝ち越した。連勝スタートし、3日目は黒星も4日目から再び連勝。5日目は正代を押し出すと翌6日目は照ノ富士を突き落としで破り、通算4個目の金星を獲得した。また37歳1か月での金星では、昭和以降の新入幕力士では史上6番目の年長記録となった。前半戦は6勝2敗で折り返した。そして後半戦は10日目に7勝目を挙げたが11日目からは3連敗し、勝ち越しに向けて足踏みした。しかし14日目は宇良を押し出しで破り、ようやく勝ち越しを決めた。

 内容に関しては得意ののど輪押しで相手を押し込んでいた。5日目の正代戦は立ち合いから二本差されたが構わず押して相手の上体を起こし、のど輪を細かく入れてそのまま押し出した。そして6日目の照ノ富士戦は立ち合いから右でのど輪を入れ、今度は左ののど輪を入れたが両のど輪ではなく、右をおっつけに切り替えたのが勝因である。おそらく照ノ富士は想定していなかったと思う。照ノ富士のバランスが大きく崩れたところをそのまま突き落とした。このあたりは経験というかベテランの成せる業である。

 その一方で後半戦は黒星が増えたが体の動きが少し鈍った部分がある。先場所も勝ち越したものの終盤は4連敗しており、年齢的なものかもしれない。それでも一横綱一大関に加えて役力士を3人破っており、ベテラン健在をアピールしたと言える。

 来場所は勝ち越しての三役復帰を期待したい。まだまだ体に張りがある上に気力も充実しており、衰えは全く感じない。のど輪に加えてぶちかましも持っており、上位陣にとっては厄介な存在となりそうだ。