大の里の今後を占う 最後に

 5月場所は新小結となったが二桁勝利を挙げられるかが一つのポイントとなりそうだ。二桁勝てば大関昇進への起点となり、そのままの勢いで大関に上がりそうである。逆に二桁勝てなければ大関に向けては少し時間がかかるということになる。個人的には既に大関に上がれるくらいの能力は示しており、問題はいつ上がるかという段階だと思っている。3月場所を観た限りでは同じく大関候補の若元春、朝乃山、大栄翔より大関に上がれる可能性が高い。また今後もポテンシャルの高さを前面に押し出しつつ、技術面を少しずつ磨いていくことになりそうだ。

 確かに他の力士と比べたら技量不足は明らかである。元横綱であり、技量が備わっていた二所ノ関親方からすれば不満はあるかもしれない。しかし技量は一朝一夕に身に付くものではない。私としては技量よりも立ち合いや前に出る圧力など、生まれ持った潜在能力を伸ばすことを師匠にはお願いしたい。粗削りのまま三役に上がれたこと自体凄いことである。また四つに組み止める相撲は大関に上がってからでも遅くない。

 ということで近い将来大関に上がるのはほぼ確実と見ている。よって注目は横綱に上がれるかどうかである。そかし横綱は大関とは違って能力だけで上がれる地位ではない。照ノ富士も部屋を移籍し、大関まで上がったものの怪我と糖尿病で序二段まで落ち、そこから這い上がるような形で横綱に上り詰めている。よって横綱に向けてはその可能性はあるものの、一筋縄ではいかないはずである。相撲の技術的な部分だけでなく、一人の人間として問われる部分もあると思う。それは大の里だけでなく、師匠の二所ノ関親方も同じである。また技量だけで横綱に上がれば双羽黒や朝青龍のようなことにもなりかねない。師匠共々人間的な部分も磨いて頂点に昇り詰めることを期待したい。

終わり