2025年5月場所個別評価 若碇

 今場所は西十両5枚目だったが12勝3敗の好成績だった。前半戦は5勝3敗で折り返した。そして後半戦は連勝し、千秋楽まで白星を並べた。草野の十両連覇こそ許したものの、千秋楽まで優勝争いを引き延ばしたことは評価できる。また大勝ちということで来場所の新入幕が濃厚となった。

 先場所後は佐渡ヶ嶽親方に声を掛けてもらい、二所一門の十両力士による連合稽古に参加し、精力的に稽古を行っていたようである。この時期は幕内力士は巡業に参加しており、東京に残っている十両力士は稽古相手が不足気味になるので親方衆が発案したみたいだ。報道によると中身の濃い稽古内容であり、力士には好評だったらしい。また若碇だけでなく琴栄峰が11勝を挙げ、幕下に陥落した大辻が幕下優勝を果たすなど目に見える結果が出た。よって今後も十両力士による稽古が続きそうである。

 さて内容に関しては押し相撲と右上手を取っての相撲で白星を挙げていた。稽古十分ということで押す威力が増し、相手に引かせる相撲を取っていた。5日目の琴栄峰戦は鋭いぶちかましから一気に押し込むと琴栄峰が右に回り込んだものの構わず押し出した。父の甲山親方の元大碇の相撲を思い出させるような内容だった。10日目の御嶽海戦は当たってすぐにモロ差しになると肩透かしから攻め手を休めず、最後は懐に入って押し出した。連続攻撃に無駄がなく、持ち味を発揮した。また投げ技で3番かっており、タイミングも非常に上手かった。

 来場所は新入幕となり、同じく新入幕が予想される草野、琴栄峰とともに幕内前半の土俵を盛り上げそうだ。また体重117キロの軽量力士であり、幕内力士の圧力とスピードを凌げるかがポイントになる。できれば強い当たりから相手を押し込み、連続攻撃できるような流れに持ち込みたい。前に出る相撲が取れれば勝ち越しが見えてくる。それでも新入幕であり、結果よりもまずは自分の力を出し切って欲しいと個人的には思っている。