2020年7月場所個別評価&9月場所に向けて 照ノ富士

2020年11月8日

東前頭17枚目 照ノ富士 13勝2敗 

 再入幕の場所だったが13勝2敗の好成績で5年ぶり2度目の優勝を飾ると同時に殊勲賞と技能賞を受賞した。初日から4連勝と好スタートを切った。そして5日目は高安との元大関対決となったが寄り切りで敗れ、初黒星となった。しかし6日目からは再び連勝し、白星を重ねた。そして協会審判部は12日目の玉鷲戦に勝てば役力士にぶつけると明言したが寄り切りで破り、上位力士との対戦が決定した。13日目は朝乃山との1敗相星決戦となったが寄り切りで破り、優勝に向けて大きく前進した。14日目は正代に寄り切りで敗れて2敗となったが後の取組で同部屋の照強が朝乃山を破ったので単独トップは守った。千秋楽は勝てば優勝という一番だったが御嶽海を寄り切りで破り、自力で優勝を決めた。 

 内容に関しては右四つに組み止めて前に出る相撲には安定感があった。4日目と7日目はいずれも立ち合いで2本差されたが極め出しで相手を土俵の外に出した。一方で投げ技で勝ったのは3日目の千代丸戦だけであり、決まり手を見ても前に出ることを意識して相撲を取っていたのが分かる。

 終盤を除けば印象に残った相撲は3番ある。2日目の琴恵光戦は左上手を取られ、横に付かれて苦しい形となったが相手の攻めを凌ぎ、左上手を切り、最後は右四つに組み止めて寄り切った。さすが元大関という相撲内容だった。5日目の琴勝峰は新入幕であり、若手期待のホープである。注目の一番だったが立ち合いで左上手を取るも下手投げを打たれ、体勢が少し崩れた。しかし体勢を立て直し、下手投げを警戒しながら最後は頭を付けて寄り切った。頭を付けたところに白星への執念が見えた一番だった。そして12日目の玉鷲戦は相手得意の突き押しに応戦し、顔を張られるも逆に張り返す気迫を見せた。攻防があったが最後は四つに組み止めて寄り切った。玉鷲の攻めを凌いだという点で稽古量も十分こなしていることを証明した一番だった。

 そして終盤3日間の上位戦は2勝1敗という成績だった。朝乃山戦と御嶽海戦は完勝。一方正代戦は完敗といった相撲内容だった。これが現時点の照ノ富士の実力だと言える。やはり上位陣も実績を積んだ結果上位にいる訳であり、そう簡単には勝たせてくれない。冷静に見れば7月場所は白星を重ね、勢いをつけていた部分があったと思うし、上位陣も照ノ富士との対戦は想定していなかったと思う。確かに優勝という結果は素晴らしい。しかし9月場所は大幅に番付を上げ、上位陣全てと対戦するので対戦相手も策を練ってくるものと思われる。本人も分かっていると思うが9月場所に向けてはもう1段レベルを上げる必要がある。

 優勝力士に厳しいことを書いてしまったが7月場所後の本人は意欲十分のようである。一夜明け会見では水曜からの再始動を明言し、本格的な稽古を再開した。会見では敗れた正代戦は膝が伸びなくなっていたと言っていた。やはり正代戦のように組み止められなかった時の対応が今後の課題である。9月場所は照ノ富士にとって試金石となる。目安は2桁勝てるかどうかである。2桁勝てば大関復帰に向けて視界が広がってくる。勝てなければ大関復帰に向けてはまだ時間がかかるということになる。おそらく9月場所の重要性は本人が一番よく分かっていると思う。ただ相撲内容は決して悪くない。今までの取り組み方を続けていれば問題ない。あとは7月場所で大関昇進への起点を作った3人にどこまで割って入ってこれるかである。9月場所は結果だけではなく、3人との対戦にも注目したい。