2021年5月場所を振り返って 優勝争い その1

 大相撲5月場所は大関に復帰した照ノ富士が優勝決定戦で貴景勝との大関対決を制し、2場所連続4回目の優勝を果たした。成績は12勝3敗だった。

 今場所は横綱白鵬が休場し、横綱不在の中、4人となった大関陣に注目が集まった。また先場所惜しくも優勝を逃した高安が大関復帰に向けてどれくらい成績を残せるかもポイントだった。同じく大関候補の隆の勝、御嶽海、大栄翔との力関係を注意深く見ていた。そして平幕では先場所三賞を受賞した若隆景と明生に加えて上位力士と対戦する番付に上がってきた豊昇龍が注目だった。

 8日目終了時点では全勝が照ノ富士、1敗が貴景勝、そして2敗が高安など7人となった。星1つ差とはいっても照ノ富士が他を寄せ付けない強さを見せており、独走ムードが漂っていた。そして大関に関しては貴景勝は本調子には見えなかったが1敗を守り、大関としての役割を果たしていた。一方カド番の正代は5勝3敗という成績であり、内容もピリッとしない相撲が多かった。そして朝乃山は4勝4敗で負けたのはいずれも平幕力士である。内容も得意の右四つに組ませてもらえず、相撲自体がバラバラになってしまった。この時点で既に4大関の明暗が分かれていた。

 そして後半戦だが9日目は1敗の貴景勝が大栄翔に敗れて2敗となり、照ノ富士との星の差が2つとなった。照ノ富士は苦手としている高安戦だったが土俵際の叩き込みで何とか白星を手にした。これで更に照ノ富士の独走ムードが強まった。

 照ノ富士が初黒星となったのは11日目だった。妙義龍戦だったが左から小手投げを打った際に右手で相手の頭を押さえたが、その右手がマゲを掴んだと判断され、反則負けとなった。本人は取組後の負け残りの土俵下でぶぜんとした表情を見せていた。気持ちは分かるが最近はマゲつかみに関しては厳しくなっており、今後に向けても注意してほしいところである。しかしこれで貴景勝との星の差は再び1となり、優勝争いが少しだけ面白くなった。

続く