2021年3月場所個別評価 碧山

 今場所は11勝4敗の好成績で4度目の敢闘賞を受賞した。前半戦は好スタートを切るも6日目からは3連敗し、4勝4敗で折り返した。そして後半戦は連勝し、勢いに乗った。13日目の翔猿戦は二本差されるも構わず前に出て最後は押し出した。14日目の若隆景戦は相手の低い攻めに対処し、最後は右腕を抱えながらの小手投げで仕留めた。千秋楽の高安戦は相手の出足を止め、間隔を空けたところでの叩き込みで這わせ、三賞受賞を決めた。実力があるのは分かっており、個人的には少しラッキーな形での受賞だったと思っている。

 内容に関しては前半戦はいなされたり手繰られたりして波に乗れなかった。決して相撲自体が悪かったわけではない。熱くなりやすいという精神面の欠点があるが、今場所に関しては安定した気持ちで相撲が取れたのが好成績の要因と言える。稽古場横綱と言われており、平幕下位での11勝はある意味で当然である。

来場所は東前頭3枚目という地位となった。平幕上位では苦戦が続いているが勝ち越しを期待したい。また東京で緊急事態宣言が発令されており、場所3日目までの無観客開催が決定した。緊急事態宣言が延長されれば無観客開催も延長されそうだ。無観客で開催された2020年3月場所も技能賞を受賞しており、稽古場みたいな感覚で相撲が取れるので本来の力が発揮できそうである。先のことは分からないが34歳とはいえ衰えはなく、上位力士を倒す活躍が望まれる。