徳勝龍引退について 相撲の取り口 その1
相撲の取り口に関しては突き押しと左四つの相撲を併用していた。対戦相手によって取り口を変えていた印象がある。また巨体に似合わず変化やとったりをするなど機動力があった。大きな転機となったのが北の湖部屋への移籍である。この頃は十両を目前にして足踏みしており、押し相撲を取っていた。しかし師匠となった北の湖親方から突然、「お前は四つ相撲だな」と言われた。それ以来左四つの相撲を覚えると成長し、2011年11月場所で十両に昇進した。さて当時の北の湖親方は理事長を務めており、協会の仕事で忙しかったので稽古に顔を出すことはほとんどなかった。しかし北の湖部屋の弟子で元幕内北大樹の小野川親方が言うには、稽古場にはたまにしか顔を出さないが、顔を出した時は状況を見抜いたうえで技術指導をしていたようだ。また現役時代は過去の対戦をしっかり覚えており、記憶力が凄かったという話を聞いたことがある。いずれにしても北の湖親方と出会ったことが徳勝龍の運命を大きく変えたのは確かである。また体を前傾させながらの左四つに組む相撲は形が良く、初優勝を飾った場所でも終盤の正代戦、貴景勝戦はいずれも左四つに組み止めての白星だった。
続く
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