なぜ御嶽海は大関に上がれないのか? その2
精神面に関しては去年の11月場所は大関獲りが懸かっていたが3日目の明生戦は勝ったものの立ち合いの当たりで右目の上を切った。その後立ち合いでしっかり当たれなくなり失速。結局14日目に負け越しが決まり、大関獲りは白紙に戻った。この件に関して元大関朝潮の高砂親方は「頭同士で当たって裂傷を負うなど相撲には付き物。そんなことを嫌がって、こわごわと取っていては大関になどなれない」と指摘している。高砂親方の現役時代は連日のように額から出血しながらも白星を重ね、大関に昇進した記憶がある。結果以前に弱みをさらけ出してしまってはどうしようもない。せめて土俵の上ではそれを隠してほしいところだ。
また入門前は大相撲入りに興味を持っていたわけではなく、指導者に誘われて大学に進学したみたいだ。そして出羽海部屋に入門する前は和歌山県庁への就職が内定しており、出羽海親方の説得もあり、角界入りを決断している。出羽海部屋は名門ではあるが現在関取は御嶽海1人であり、手本となるような兄弟子や稽古相手はいない。言葉は悪いが部屋にいる限りあぐらをかくこともできる環境である。当然ながら本人の自覚次第である。精神的な甘えが出ても不思議ではない。
相撲内容に関しては15日間を通しての相撲内容という意味である。9月場所7日目の玉鷲戦は立ち合いで押されると安易に引き、相手を呼び込んであっさり土俵を割った。突き押しが得意な力士なので押されたら押し返すという気持ちが欲しい。その気持ちが全く見えなかった取組だった。3月場所までは突き押しに徹していたが7月場所から再び引き技が多くなったのは少し気になる。
御嶽海は2回優勝しているが2018年7月場所の時は3横綱が休場していた。そして去年の9月場所の時は2横綱が途中休場していた。上位力士が休場していた中でかすめ取った優勝という印象が私の中にはある。また御嶽海は気分屋さん的な一面を持っている。勝てば気分が乗るけど負ければ乗らない。性格面は変わらないかもしれない。しかし調子が悪い時にいかに力を発揮するかが問題と八角理事長は苦言を呈していた。御嶽海にはもう一度原点に立ち返り、突き押し相撲を磨いてほしい。そして相撲を磨く中で精神的なムラをなくしてほしいというのが私の願いである。
続く
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