2020年9月場所個別評価 豊昇龍

2024年5月22日

 西前頭16枚目で新入幕の場所だったが8勝7敗で勝ち越した。前半戦は4勝4敗で折り返した。そして後半戦は12日目に7敗となり、勝ち越しに向けて後がなくなった。しかし13日目からは連勝し、千秋楽に勝ち越しを決めた。特に14日目の輝戦は土俵際まで押し込まれたが逆転の掛け投げで白星を手にした。このあたりはおじである元横綱朝青龍の血をしっかりと受け継いでいる。またここという時の勝負強さはさすがである。

 内容に関しては対戦相手に応じて四つ相撲と押し相撲を使い分けていた。また時には投げ技や足技を見せ、館内を沸かせていた。特に印象に残ったのが初日の逸ノ城戦である。相手得意の左上手を取られ、苦しくなったかに見えた。しかし相手が巻き替えに来たところを右から下手投げを打って相手のバランスを崩し、そのまま寄り切った。相手の動きを読んだうえでの攻めは素晴らしかった。そして相撲センスの高さを垣間見た一番だった。場所全体を通してみても一方的に負けた相撲は少なく、着実に力をつけてきている。このまま成長していってほしい。

 11月場所も勝ち越しを期待したい。年齢は21歳と若く、琴勝峰とは同学年である。体の完成度は琴勝峰のほうが上なので番付は早く上げていきそうだ。しかし豊昇龍もいずれ強くなり、琴勝峰に追いつきそうである。豊昇龍は身長186センチ、体重131キロという体格だが体重は以前に比べたらかなり増えてきた。将来的にはあと20キロ近く増やして強くなりたい。スピードとセンスは非凡なものを持っており、角界を背負って立つ可能性のある力士である。今後の成長を期待したい。