2026年5月場所個別評価 義ノ富士

 今場所は東前頭2枚目だったが11勝4敗の好成績で2度目の敢闘賞を受賞した。白星スタートも2日目以降は上位力士相手に3連敗した。しかし4日目以降は役力士が相次いで休場したこともあり、平幕との対戦が続いた。そんな要因もあり、5日目から9連勝と波に乗るとともに優勝争いに加わった。しかし14日目は藤凌駕に敗れ、痛恨の4敗目を喫した。千秋楽の琴栄峰との4敗対決は力の違いを見せつけ、三賞受賞を決めた。

 内容に関しては右四つの相撲と押し相撲、そして投げ技で白星を挙げていた。初日の琴勝戦と6日目の隆の勝戦は物言いが付いたがいずれも義ノ富士の勝ちとなった。手足が長く、守りの相撲も取れるのが魅力の一つである。序盤の3連敗は役力士が相手ということで仕方がない部分もある。また真っ向勝負で臨んでおり、姿勢としては悪くない。

 特筆すべきは9連勝という結果だけでなく、その内容である。同じく平幕上位の力士には全て勝っており、地力が付いてきたのが分かる。7日目の豪ノ山戦は押し込まれたものの二本のぞかせ、豪ノ山に振りほどかれたものの引きに乗じて押し出した。相手の攻めを真っ向から受け止めての反撃であり、見事な内容だった。9日目の王鵬戦は当たって二本差すも王鵬に両腕を極められた。しかし右下手から振って運んで寄り切った。本人によると半端なく極められてめちゃくちゃ痛かったようだ。しかし休まず、自ら動いて勝負を付けた。そして11日目の平戸海戦は押し合いから右四つに組んだが平戸海に左上手を取られ、苦しい体勢となった。その後平戸海の寄りを右下手から振ってこらえると、再度寄ってきた平戸海を右下手投げでねじ伏せ、勝ち越しを決めた。左上手は切れなかったものの右下手から平戸海の上体を起こしたことが勝因である。また投げるタイミングも絶妙であり、相撲センスを持っている。

 負けた相撲に関してはやはり14日目の藤凌駕戦である。前廻しを狙いに行ったが失敗に終わった。その後突き立てるも廻しが取れず、強引に前に出たところを藤凌駕の掬い投げに土俵を這った。結果的に藤凌駕が上手く相撲を取ったということだと思うが、今後を見据えては前廻しを狙うと決めた以上、廻しを取って厳しい相撲が取れるようになって欲しい。先に向けての課題と考えればこの黒星は悪くなかったかもしれない。

 来場所は新三役となるが、本人が言うように今場所は三役相手に1番しか勝っておらず、上位陣が復帰してくる今度が試金石と言える。ただ能力は誰もが認めており、勝ち越しではなく二桁勝てるかが焦点となる。また今場所は平幕相手に白星を並べており、地力強化しているのは確かである。相撲内容を見ても目先の結果にこだわらない内容に見え、着実に強くなっている。ライバルは多いが上位力士の間にどれだけ割って入っていけるかが非常に楽しみである。