2022年11月場所を振り返って 優勝争い その1

 2022年11月場所は西前頭9枚目の阿炎が貴景勝と高安との優勝決定巴戦を制して初優勝を果たした。成績は12勝3敗だった。また3人による優勝決定巴戦は曙、貴ノ浪、貴闘力で争った1994年3月場所以来28年ぶりとなった。そして3場所連続の平幕優勝は史上初である。それでは場所を振り返っていきたい。

 優勝争いに関しては横綱照ノ富士が両膝の手術をしたので今場所だけでなく、あと数場所は休場する可能性が高くなった。そして横綱不在の中、番付最上位となる大関が優勝争いをリードできるのか?。またはそれに次ぐ役力士がその役割を果たせるのかに注目が集まった。

 前半戦は4日目に早くも全勝力士がいなくなり、混戦となった。結局8日目終了時点では1敗が豊昇龍、高安、阿炎、王鵬の4人、そして2敗で貴景勝と錦富士が追いかける展開となった。私はこの時点では豊昇龍と高安が少し有利と見ていた。豊昇龍は若手で力を付けてきており、高安はこの時点で役力士との対戦をほぼ終えていたからである。優勝争いの行方がほんの少し見えてきた中で後半戦を迎えた。

 9日目は1敗だった高安と阿炎が敗れて2敗となり、2敗の貴景勝も翔猿に敗れて3敗に後退した。9日目終了時点では1敗は豊昇龍と王鵬の2人。2敗が高安、錦富士、阿炎の3人という状況となった。10日目は阿炎が連敗して3敗となり、優勝争いから後退。しかし他の1敗、2敗力士は負けなかったのでほぼ変わらず。

 そして大きく動いたのが11日目である。1敗の王鵬は阿炎に敗れて2敗となった。また2敗だった錦富士も敗れて3敗に後退。一方豊昇龍は御嶽海を寄り切りで破って1敗を守り、初めて単独トップに立った。11日目終了時点で1敗は豊昇龍。そして2敗が高安と王鵬の2人となった。

続く