2022年5月場所個別評価 阿炎

 今場所は7勝8敗で負け越した。前半戦は上位力士との対戦がほとんどなく、5勝3敗で折り返した。後半戦は9日目から3連敗。しかし12日目からは連勝し、7勝目を挙げた。しかし終盤は14日目に敗れると千秋楽は若隆景との関脇対決となったが押し出しで敗れ、勝ち越しは成らなかった。

 内容に関しては得意のもろ手突きで一気に押し切る相撲は少なかった。先場所痛めていたヒジは使えており、体調というよりも対戦相手に研究されてきたという印象がある。自分の相撲をなかなか取らせてもらえなかった。また負け越したとはいっても千秋楽での負け越しであり、悲観することはない。ちなみに先場所は千秋楽での勝ち越しであり、これが現在の実力と言っていいと思う。

 私としては三役で二桁勝利を挙げての大関獲りを期待していたが、少し壁にぶつかった感じがする。おそらくだがこの先は少し苦しみそうな気がする。負け越しての平幕陥落もあるかもしれない。しかしここからが大事である。相撲を変えるのではなく、更にもろ手突きの相撲を磨いて壁を乗り越えてほしい。一番良くないのが自分の相撲に迷いが生じ、安易に勝ちに行こうとすることである。その場しのぎで勝ってもプラスになることは何もない。多少時間がかかっても、上位力士相手にコンスタントに二桁勝てるような相撲内容を私としては期待したい。

 来場所は小結となったが、まずは勝ち越しての三役確保といきたい。また阿炎にとってプラスなのは出稽古が解禁されたことである。先日は若隆景などがいる荒汐部屋に出稽古に行っており、充実した稽古ができているようだ。部屋に関取は阿炎しかおらず、体調に問題がなければ精力的に出稽古に行ってほしいところだ。やはり関取衆と稽古できるのはプラスだと思うし、強い相手と稽古をすれば新たな課題が見えてくるかもしれない。相撲センスを含めてあらゆる才能を備えており、あとは努力をするだけである。すぐにではなくて構わないので御嶽海のように大関昇進という形で才能が開花する日を楽しみにして待ちたい。