2024年1月場所個別評価 大の里

 今場所は西前頭15枚目で新入幕の場所だったが11勝4敗の好成績で初の敢闘賞を受賞した。連勝スタートを切ったが3日目は阿武咲に敗れて初黒星となった。しかし4日目からは白星を並べ、9日目に早々と勝ち越しを決めた。すると取組編成を決める審判部も内容を評価したのだと思う。10日目からは関脇琴ノ若、大関豊昇龍を当てた。そして12日目は新入幕では逸ノ城以来10年ぶりの横綱戦となる照ノ富士戦が組まれた。結果は三連敗に終わったが自分の相撲は取れており、構わず前に出る内容は大物感を感じさせた。負けたとはいえ新入幕であり、上位力士と対戦できただけでいい経験になったと思う。残り三日間は再び平幕との取組となったが白星を並べ、改めて力の違いを見せつけた。

 内容に関しては立ち合いから圧倒する内容で白星を挙げていた。右を差しにいく立ち合いが多いが圧力が強いので組む前に相手が土俵を割るといった内容が多かった。単純に平幕下位は通過点ということである。大抵の力士は新入幕だと立ち合いの圧力が強くなるので苦労するのだが、大の里は立ち合いの破壊力が凄まじいので全く問題なかった。

 それでも上位力士との対戦ではいずれも組み止められた。このあたりが平幕力士との違いである。また組み止められたことで今後に向けてのヒントが得られた可能性もある。三番ともに結果ではなく自分の力を試すような相撲を取っていた。稽古で力を付けながら試行錯誤していけばいずれは結果を出せそうな気がする。

 個人的に感心したのが終盤三日間の相撲である。上位力士が相手とはいえ三連敗しており、相撲が崩れてもおかしくないところである。しかし13日目の隆の勝戦は立ち合いからすぐに右を差し、左はハズ押しの形で一気に押し出した。14日目の佐田の海戦は当たってすぐに左前廻しを取られ、振り回されたものの残すと前に出ながらの切り返しで尻餅をつかせた。千秋楽の玉鷲戦は相手の右のど輪を左からあてがい、そのまま押し込むと最後は右に下がって引き落とした。また体もしっかり動いており、上位戦での」体力の消耗はなかったようである。スタミナ面も含めて今後に非常に期待が持てる。

 3月場所は大幅に番付を上げ、西前頭5枚目となった。おそらく後半戦は役力士と対戦しそうだがそれまでは白星を並べたい。また今場所の相撲を観た限りでは出稽古や強い力士との稽古が必要である。体が大きく、スケールも大きいので部屋で稽古をしたところで師匠に胸を出してもらうのが一番であり、他の力士とは差がありすぎるように感じる。また部屋が茨城県にあり、出稽古が厳しい環境なので二所一門の連合稽古など機会がある時は参加して強い力士と稽古をしたい。そしてできれば横綱や琴ノ若、高安、朝乃山など的が大きな力士と稽古をするのがベストである。強くなるだけでなく、どのようにして強くなるか?。またどのような成長曲線を描くかが非常に興味深い。