2020年9月場所を振り返って 優勝争い その2

2024年5月22日

 さて後半戦も混戦が続いたが12日目終了時点で優勝争いが絞れてきた。2敗が貴景勝、正代と新入幕の翔猿の3人、そして3敗が朝乃山と平幕の若隆景と阿武咲の3人である。2敗の役力士は2敗を守り、後半戦の土俵を引き締めた。そして翔猿である。身長175センチ、体重131キロの軽量力士であり、押し相撲を得意としている。また押し切る相撲ではなく、押しながら相手との間隔を取り、そこから引いたり叩いたり、またはいなしたりといった動きが得意である。そのタイミングの絶妙な上手さが翔猿の相撲の特長である。軽量力士ということで対戦相手は炎鵬や石浦、照強をイメージしたと思うが翔猿は今挙げた3人とは違って相手の懐に入る相撲はほとんどない。また廻しを取ることもほとんどない。タイプは全くと言っていいほど違う。そんな中で翔猿は相手を翻弄しながら白星を伸ばしていった。また3敗の中では朝乃山が巻き返した。不戦勝もあったが4日目からは連勝し、勝ち越すと同時に優勝争いの輪の中に入ってきた。

 そして13日目である。貴景勝と正代の2敗同士での直接対決が組まれた。翔猿は今場所好調の隆の勝との取組が組まれた。翔猿はの相撲は立ち合いでふわっと立ち、隆の勝の押しをまともに受けた。しかし相手の右手を手繰って左へ回り込み、最後は送り出した。翔猿らしい相撲で2敗を守った。そして2敗同士の対戦は貴景勝のぶちかましに正代がかち上げで応じる熱戦となったが最後は正代が左からの突き落としで勝ち、2敗を守った。一方貴景勝は自分の相撲は取ったが一歩及ばなかった。解説の北の富士さんが指摘していたが今場所の正代は前に出る圧力が強い。結局貴景勝が勝つには当たっていっぺんに前に出る相撲しかなかったということだと思う。いずれにしても正代の強さが際立った一番だった。13日目終了時点で2敗は正代と翔猿の2人、そして3敗で朝乃山、貴景勝など4人が追いかける展開となった。

続く