2022年1月場所を振り返って 優勝争い その2

 13日目は3敗の琴ノ若は玉鷲戦だったが押し込むも土俵際で突き落とされ、負けたかに見えた。しかし行司はよく見ており、突き落とされる前に玉鷲の足が土俵を割っていた。いずれにしても3敗を守った。そして注目は御嶽海と阿炎の一番。優勝争いを大きく左右すると同時に2年ぶりの対戦となった。相撲は阿炎のもろ手突きを御嶽海が正面から受けて応じた。そして御嶽海が押し込むと阿炎がたまらず引き、そのまま押し出した。私はもう少し阿炎が善戦すると思っていたのでこの内容は少し意外だった。それでも御嶽海の相撲が立派だったのは間違いない。照ノ富士は隆の勝戦だったが速攻相撲で寄り切り、2敗を守った。ただ内容に関してはいつものように受けて立つ相撲ではなく、相手の右腕を手繰る相撲であり、体調が万全ではないことをうかがわせる内容でもあった。13日目終了時点で2敗は照ノ富士と御嶽海、そして3敗が阿炎と琴ノ若という優勝争いとなった。

 そして14日目。最初に出てきたのは御嶽海である。相手は宝富士。先場所は四つに組み止められて負けている相手である。しかし相撲は御嶽海がぶちかますと相手の左差しを右からおっつけ、最後は送り出した。詰めの部分で右足が流れたのが少し気になったが左足で踏ん張っており、大丈夫だったようだ。次に出てきたのは琴ノ若である。相手は隆の勝。番付も実績も相手の方が格上である。そして相撲も隆の勝にのど輪で押し込まれたが土俵際で体を開いての左からの上手投げで下した。やはり琴ノ若は足腰が柔らかい。そして調子の良さが出た一番だった。結びは照ノ富士と阿炎の対戦である。勿論優勝に向けてはどちらも負けられない一番である。そして先場所は照ノ富士が勝ったものの阿炎は土俵際まで追い詰めており、その意味でも見逃せない一番となった。相撲は照ノ富士が左前まわしを狙うも阿炎はそれを許さない。そして阿炎はもろ手突きで突き立てる。ここまでは先場所と全く同じである。しかしここから先が違った。阿炎が右からいなすと照ノ富士が大きくバランスを崩し、そこを阿炎はすかさずのど輪で攻める。最後は照ノ富士の上体が伸びきったところをおなかを突いて押し出した。阿炎は完勝。そして照ノ富士は完敗である。この結果2敗で御嶽海が再び単独トップに立ち、3敗で3人が並んだ。そして千秋楽は御嶽海は照ノ富士戦、そして阿炎は琴ノ若と3敗同士の対戦となった。御嶽海が勝てば優勝。そして負ければ3人による優勝決定巴戦となる。確かに御嶽海にとって照ノ富士は難敵である。直近では7連敗しており、勝ち目がないと言われても仕方がない。しかしそれは「照ノ富士の体調が万全なら」という条件が付く。今場所は明らかに両膝の状態が思わしくなく、調子だけでいえば横綱とはいえ、御嶽海は勝たなければならない相手である。また勝てば直近3場所で33勝という数字に届く。優勝だけでなく、大関昇進を視野に入れての土俵となった。

続く