2024年9月場所個別評価 朝紅龍

 今場所は東十両8枚目だったが11勝4敗の好成績だった。3連勝スタートし、7日目までは6勝1敗だった。しかし8日目からは連敗し、優勝争いから後退した。それでも12日目に大青山に勝って勝ち越しを決めるとその後も連勝し、11勝で場所を終えた。

 内容に関しては懐に入っての押し相撲で白星を挙げていた。初日の白鷹山戦は当たって相手の左ハズ押しを右から跳ね上げると懐に入って押し上げた。その後左廻しを取ると最後は押し出した。前に出る相撲であり、好内容だった。7日目の嘉陽戦は日体大の1年後輩との対戦となった。相撲は朝紅龍が嘉陽の動きを見ながら押し込むと嘉陽は引いたり回り込んだりしながらそのタイミングをうかがっていた。しかし朝紅龍は冷静に動きを見ており、落ち着いて押し出した。関取としてのキャリアも上であり、先輩力士として経験の違いを見せつけた。12日目の大青山戦は熱戦となった。当たってすぐに二本差し、両下手を取ったが大青山が朝紅龍の両腕を抱えて吊り上げた。しかし吊りを残すと土俵際で下手投げと小手投げの打ち合いとなった。そして左下手投げを打つと同時に右下手を抜いた。その後右はおっつけながら左を深く差して最後は押し出した。吊り上げられた後の対応が見事であり、流れるような攻めを見せ、勝ち越しを決めた。

 11月場所は東前頭17枚目となり、新入幕となった。今場所は十両上位の玉正鳳と千代翔馬に勝っており、力を付けていると見て良さそうだ。ただ大幅な番付上昇による新入幕であり、先場所白熊が負け越しているように、正直勝ち越しは厳しいかもしれない。それよりも大事なのは相撲内容である。本人も語っているが、投げ技に行かずに前に出る相撲を取ることが大切である。おそらく投げ技に行くことは相手の思うつぼであり、今場所のように意識して前に出る相撲を心掛けたい。