2025年5月場所個別評価 狼雅

 今場所は西前頭14枚目であり、再入幕の場所だったが9勝6敗で勝ち越した。連勝スタートを切り、白星先行の流れで前半戦は6勝2敗で折り返した。そして後半戦は10日目に7勝目を挙げたがその後は3連敗し、勝ち越しを前に足踏みした。しかし14日目は錦木を寄り切って勝ち越しを決めると千秋楽も勝ち、9勝で場所を終えた。

 内容に関しては右四つに組み止める相撲には安定感があった。また右ハムストリングの負傷で場所前の春巡業を休場したが、怪我の影響は見られなかった。初日の佐田の海戦は当たってすぐに佐田の海の左前廻しを切り、逆に左前廻しを取ると頭を付けて前に出て寄り切った。短い相撲だったが相撲の上手さを見せた。7日目の竜電戦は当たってすぐに左前廻しを取り、右を差そうとしたが竜電に左脇を固められたので長い相撲となった。最後は右を差し込み下手を取って寄り切った。10日目の金峰山戦は当たって左前廻しをつかめずに押し込まれ、右に回り込んで残した。その後押されたところで金峰山の右を手繰り、左へ体を開いて送り出した。自分の形にはなれなかったものの立ち回りの上手さで白星を手にした。力量的にも幕内に定着する分には問題なさそうだ。

 一方気になったのが勝ち越しを前に3連敗した内容である。確かに勝ち越しを目前にして足踏みするのはよくあることである。しかしその内容に今後に向けての課題があるように私には見えた。11日目の朝紅龍戦は右を差しており、できれば寄り切って欲しかったところである。12日目の阿武剋戦も右四つに組んだものの右を巻き替えられた後左も巻き替えられて寄り切られた。勝ち身の遅さを指摘されても仕方がない。13日目の明生戦はぶちかまされた後は防戦一方となり、最後は右からのとったりで土俵の外に放り出された。連続攻撃をされた時にいかに攻めを凌ぐかというのも今後の課題である。

来場所も勝ち越しを期待したい。また今後に向けては速い相撲と厳しい相撲が求められる。地力はあるのだが受け身に回ることが多いので、自ら攻める相撲を取りたい。これまでを見ても大勝ちするタイプではなく、少しずつ番付を上げていきそうだ。