2025年5月場所個別評価 欧勝馬
今場所は東前頭6枚目だったが10勝5敗の好成績だった。序盤は2勝3敗と黒星が先行した。しかし6日目からは6連勝し、11日目は明生を叩き込みで破って勝ち越しを決めた。その後は番付上位の力士と対戦したが三役の若隆景、霧島には勝てなかった。14日目からは若元春、阿炎といずれも来場所の三役昇進を懸けた戦いとなったが連勝し、二桁勝利となった。
内容に関しては送り出しで6番勝っており、いなして相手を横に向かせてから前に出る相撲が多かった。元々が引きやいなし、叩きが多い力士である。しかし前に出る相撲を取らなければ上位力士には勝てないと悟り、意識して取り組んできたようである。その成果が出たと言って良さそうだ。
3日目の翔猿戦は翔猿の右蹴返しをこらえると両者体が出るのが同時と見て取り直しとなった。取り直しの一番は欧勝馬が立ち合いで左に動いて左上手を狙うも取れず、引いたところを押し出された。結果的に作戦失敗に終わった。しかし取り直し前の一番を含め、両者の駆け引きは非常に面白かった。
そして終盤の相撲である。14日目の若元春戦は若元春に押し込まれるも回り込んで凌ぐと叩いた後左からいなして若元春を泳がせ、押し出した。攻められた後に連続技を繰り出せるあたりは稽古ができている証拠である。千秋楽の阿炎戦は阿炎のモロ手突きを左を手繰って回り込んで残した。その後も阿炎に攻められ、叩くも落ちず、土俵際まで押し込まれた。しかし左足一本で残すと左下手をつかんでこらえた。その後阿炎の右小手投げがすっぽ抜け、背中を向けたところを送り出した。時間は短かったが攻防があり、見応えのある一番だった。そして10勝目となり、新三役が見えてきた。
来場所は前頭筆頭~5枚目までの力士が全て負け越しているということもあり、新三役が濃厚である。確かにラッキーな側面はあるものの、終盤は三役実績のある若元春と阿炎に勝っての二桁勝利であり、力が付いた結果と言える。勿論勝ち越しを期待したいが、やはりもっと前に出る圧力が欲しい。押し相撲が得意ではあるものの守りが強く、長い相撲になるとしぶとさを発揮するタイプである。しかし守りの相撲では持ち味を発揮する前に勝負が決まってしまう。逆に前に出る力が強くなれば引きやいなしなどがより生きてくるはずである。また日体大の後輩の大の里が新横綱となったが幕内での対戦はまだなく、対戦が楽しみである。
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