2021年9月場所個別評価 逸ノ城
2年半ぶりの三役復帰となったが8勝7敗で勝ち越した。場所前の8月28日に新型コロナウイルス感染が公表された。その後部屋で隔離された影響で場所前の稽古ができない中、9月場所を迎えた。
前半戦は3日目に貴景勝を上手投げで破るも黒星が先行した。そして9日目終了時点では3勝6敗と苦しい星勘定となった。しかし10日目からは連勝し、12日目は正代を叩き込みで破った。14日目は遠藤を突き落としで下し、勝ち越しを決めた。
そして場所後の9月29日付で日本国籍を取得したと官報で告示された。
内容に関しては右四つ一本の印象が強い逸ノ城だが、今場所は叩き込みで2番、上手投げ、押し出し、極め出し、突き落としで1番ずつ勝っており、相撲の取り口に幅が広がってきた。そして鋭い踏み込みからのかち上げ気味の体当たりも威力抜群だった。10日目の玉鷲戦は立ち合いで左前廻しは取れなかったものの右を差し、そのまま押し出した。11日目の宝富士戦は3分以上の長い相撲となったが、不得手の左四つながら最後は寄り切った。稽古量も十分である。そして13日目の隠岐の海戦は相手の右を極め、左はのど輪でそのまま極め出した。らしくないと言っては失礼だが、なかなか厳しい攻めだった。勿論負けた相撲もあるが、全体として前に出る相撲を取り続けていたのは好感が持てる。
来場所は再び小結での土俵となるが、2桁勝利を挙げ、大関昇進への起点を作りたい。今場所前はコロナ感染でほぼ調整できない中での土俵だったので前進が期待できる。そしてもう一つ注目しているのが照ノ富士戦である。現在4連敗中であり、今年に限っても3連敗中だが、もう少し地力が付けば善戦できると私は見ている。そして勝てるようになれば大関昇進も見えてくると思うので更なる躍進を期待したい。
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