元大関の肩書を嫌う男! 正代 2020年9月場所での初優勝と大関昇進

 この場所は関脇で迎えたが前半戦は照ノ富士に敗れるなど2敗し、6勝2敗で後半戦を迎えた。しかしこの時点で優勝争いトップタイであり、大混戦の場所となった。そして後半戦は白星を重ねると13日目は大関・貴景勝を突き落とし、14日目は大関・朝乃山を押し倒しで破った。千秋楽は新入幕の翔猿を突き落としで下し、初優勝を決めた。また熊本県出身の力士では年6場所制以降初の幕内優勝となった。優勝の原動力となったのが2020年1月場所である。この場所は13勝を挙げ、敢闘賞を受賞した。その一方で14日目は徳勝龍との1敗対決で敗れ、千秋楽で徳勝龍が勝ったため優勝を逃した。同じ平幕の立場ではあったものの実績は正代の方が上であり、悔しかったのは容易に想像がつく。よって1月場所の悔しさを晴らしての初優勝だったと言える。

 また場所後に大関に昇進した。新大関は2020年3月の朝乃山以来で、時津風部屋からは元理事長の豊山以来57年ぶり、熊本県出身では1962年7月の栃光以来58年ぶりとなった。ただ大関昇進の目安となる3場所トータル33勝には届いておらず、32勝である。しかしこの場所は両横綱が全休であり、また二大関ということで看板力士が足りず、タイミング良く大関に上がれたという印象が強い。そうは言っても運も実力の内であり、また運を引き寄せるのも実力である。

続く