2026年7月場所個別評価 熱海富士
今場所は12勝3敗の好成績で4度目の敢闘賞を受賞した。3連勝スタートも4日目からは連敗し、前半戦は5勝3敗で折り返した。そして後半戦は白星を並べた。両横綱を倒すと千秋楽は安青錦に勝ち、優勝決定戦に持ち込んだ。そして優勝決定巴戦は霧島に勝ち、初優勝に王手を懸けたものの安青錦に寄り切られ、あと一歩のところで優勝を逃した。
内容に関しては巨体を活かした馬力相撲で白星を挙げていた。負けた相撲に関しては4日目の大栄翔戦は土俵際でタイミング良く突き落とされての黒星だった。また8日目の霧島戦は左上手を取ったものの霧島に上手く上手を切られての負けであり、内容は決して悪くなかった。唯一負け方が良くなかったのが5日目の隆の勝戦である。押し合いから押し込んで前に出たものの左へ回り込まれると隆の勝に右を差されると同時にまともに引いたところを押し出された。隆の勝は馬力があり、思わず引いてしまう気持ちは分かるが、左からおっつけて我慢して欲しかったところである。逆を言えば反省すべきはこの一番だけであり、総じて自分の相撲が取れていた点は評価できる。
特に素晴らしかったのが12日目の琴栄峰戦である。琴栄峰の速い攻めに防戦一方になったものの、最後は寄られながらも右から掬っての突き落としを見せ、同体取り直しに持ち込んだ。そして取り直しの一番は当たってすぐに左上手を取ると力強く寄り切り、地力の違いを見せつけた。最近は時折土俵際で突き落としを見せており、相撲に粘りが出てきた。先場所の藤青雲戦も同じように土俵際で突き落としを見せて取り直しとなり、白星に結び付けている。以前はあっさりと土俵を割る相撲が目立っていただけに、成長は目を見張るものがある。
そしてもう一つ褒めたいのが本人ではなく、師匠の伊勢ヶ浜親方の指導方針である。以前は右四つにこだわる取り口だったが、去年の6月に師匠に就任してからは馬力を生かして前に出る取り口に変わってきている。また巨体ではあるもののリーチは長くなく、体型的にも押し相撲の方が理にかなっていると私は思っている。あとは個人的には右からのおっつけを磨いて欲しいと考えている。右が差せなくてもおっつけて相手の上体を起こせば巨体なので廻しを取る必要がなくなる。いずれにせよいい感じで強くなっており、今後も師匠の指導力に期待したい。
来場所は大関獲りとなる。場所後に審判部が公言しており、目安は12勝だが、内容次第では11勝でも上げてもらえると見ている。また今場所のような相撲が取れれば自ずと結果はついてくる。そして優勝は強く意識せず、自分の相撲を取ることに集中したい。できれば今度は優勝争いをリードして千秋楽を迎えたいところだ。
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