2026年5月場所個別評価 藤凌駕
今場所は東前頭17枚目だったが10勝5敗の好成績だった。連勝スタートを切り、前半戦は6勝2敗で折り返した。そして後半戦は10日目に早々と勝ち越しを決めると14日目は義ノ富士を破って10勝目を挙げた。また霧島が敗れたため、逆転優勝へ望みをつないだ。しかし千秋楽は若隆景に敗れ、優勝の可能性が消滅するとともに敢闘賞受賞を逃した。
3月場所後の春巡業は巡業初参加となったが、霧島や高安に胸を出してもらったようである。まだ入幕2場所目だが体が大きく、素質を買われている証拠である。よって巡業の成果が出たのかもしれないが、二桁勝利は私的には驚きではない。それくらいの力はあると思っていた。ただ義ノ富士に勝ったことには驚いた。巨体の割にはスピードがある上に器用さも持っている。また若隆景戦は若隆景の調子が良くなければ勝ち目もあったかもしれないが、絶好調モードに入っていたので負けたのは仕方がない。取組後語っていたように次への糧にしたい。
内容に関しては馬力を生かした押し相撲で白星を挙げていた。2日目の若ノ勝戦は当たって押し込まれたものの押し返すと押し合いの激しい攻防となった。その後土俵際まで押し込んだものの若ノ勝に右からいなされ、体を入れ替えられた。そして押し込まれたものの、右からの強烈な突き落としでねじ伏せた。若手同士の力と力のぶつかり合いは見応えがあり、好内容だった。
8日目はここまで1敗と好調の琴栄峰戦だったが当たってすぐに左をのぞかせると右から強烈におっつけて寄り詰め、琴栄峰の右突き落としにも構わず体を預けた。取組後は「土俵際で突き落としにこられたので、しがみついてでも勝ってやろうと思った」と語った。ただスピードがある上に重心が低いので逆転負けは食わないタイプである。気迫十分の相撲で白星を手に入れた。
そして14日目の義ノ富士戦は義ノ富士の右差しを左おっつけで許さず、逆に左をのぞかせると強引に前に出た義ノ富士を左掬い投げで這わせた。相撲を観ても左からおっつける以外は特にこれといった作戦を立てたようには見えなかった。それでも義ノ富士に相撲を取らせなかったのは立派である。三賞の常連力士に勝ったので自信になったものと思われる。
来場所は自己最高位を更新するが、再度の二桁勝利を期待したい。そして地元の名古屋場所である。幕内力士として地元に凱旋できるのは嬉しいに違いない。以前は横綱玉の海、大関琴光喜など数々の名力士を輩出したが、現在は関取は藤凌駕一人である。よって地元ファンの期待は大きい。まだまだこれからの力士だが能力は高く、強くなるだけでなく地元を背負うくらいの気持ちで相撲に取り組んで欲しい。
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