2022年11月場所個別評価 若隆景
今場所は8勝7敗という成績だった。黒星スタートも2日目からは連勝し、前半戦は5勝3敗で折り返した。後半戦は何とか調子を上げ、二桁勝利に持っていきたかったところだが9日目に翠富士に敗れると11日目からは連敗して6敗となり、二桁勝利の可能性が消えた。それでも13日目は錦富士を破り、今年56勝目を挙げると同時に年間最多勝を確定させた。翌14日目は北勝富士を押し出しで破り、勝ち越しを決めた。
内容に関しては大関昇進に向けてということで変化はせず、正攻法の相撲を取っていたが結果が伴わなかった。やはり体重131キロの軽量力士なので初日の高安戦や4日目の琴ノ若戦のように軽量を突かれると苦しくなる。それでも前に出る相撲には安定感があり、危なげなく勝ち越しを決めた印象である。地力はあるのであとは大関昇進に向けて結果を残したいという段階だと思う。
さて今年の若隆景だが、年間最多勝をマークしたように今年幕内で一番活躍した力士と言っていい。3月場所は初優勝を果たし、先場所は11勝を挙げている。また全ての場所で勝ち越しているのも素晴らしい。相撲も以前はおっつけ主体の動き回る相撲を取っていたが最近は上を目指すことを見据え、廻しを取って前に出る相撲に変わってきている。今場所こそ結果は伴わなかったが相撲内容は進化しており、今後へ期待したくなる相撲を取っている。
ただ厳しい見方をすれば今年が良すぎただけに、来年も同じような活躍ができるのか?と私的には思っている。大関昇進に向けては来年が試金石となることはほぼ間違いない。年齢も場所後に28歳となり、来年は勝負の年となりそうだ。年齢的には年下の豊昇龍や琴ノ若は力を付けてくると思われるので大関に向けては決して楽観できるような状況ではない。また来年後半には出場停止処分明けの元大関朝乃山が役力士と対戦できるところまで番付を上げてくることが予想される。ということで関脇の座を守っている若隆景にとっては朝乃山が上がってくる前の来年前半が大変重要になってくる。できればライバルが増える前に大関昇進といきたいところだ。
来場所に関しては大関昇進に向けては一からやり直しとなったのでまずは二桁勝利を挙げたい。また来場所も横綱の休場は濃厚であり、正代が関脇へ陥落となったので大関は貴景勝一人という状況である。横綱を除けば二番目に番付が高い力士となり、その意味では関脇という地位以上の役割が求められる。できれば貴景勝とともに優勝争いをして、3場所連続平幕優勝というある意味では不名誉な記録をストップして欲しい。
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