2025年11月場所個別評価 宇良

 今場所は西前頭3枚目だったが8勝7敗で勝ち越した。前半戦は5日目は琴櫻を破る活躍があったが上位力士との対戦が続いたこともあり、3勝5敗で折り返した。しかし後半戦は巻き返すと14日目は翔猿との長い相撲を制し、勝ち越しを決めた。

 内容に関しては立ち合いの当たりが鋭く、相撲に安定感があった。フワッと立つこともある力士だが、今場所はそれがほとんど見られなかった。琴櫻戦は当たってすぐに左を差すと懐に入って右も差して一気に寄り切った。9日目の若元春戦は徹底的に潜りに行く作戦だった。突き起こそうとする若元春に対して自ら土俵際へ下がる動きを見せた。その後体を沈めて右足を取ると左差し、右おっつけの形で寄り切った。そして翔猿戦はいつものように押し合いといなし合いの激しい攻防となった。その後動きが止まったところで張り手を食らった。それでもひるまず右足を取りに行き、嫌った翔猿の上体が起きたところで押し上げて押し出した。総じて体がよく動いており、好調だったのは確かである。

 負けた相撲に関しても役力士相手に見せ場を作った。6日目の安青錦戦はしつこく懐に入る動きを何度も見せた。しかし相手得意の左四つに組み止められ、最後は上手を取られて寄り切られた。それでも今後に向けては相手を混乱させるような動きができれば勝機が出てきそうである。7日目の大の里戦は相手の右差しを嫌い、右にずれての立ち合いだった。そじて懸命に懐に入る動きを何度も見せた後で更に低い体勢となり、懐に入って左を差して前に出た。しかし大の里に肩越しに右上手を取られると上手捻りで土俵に這った。ただ土俵際まで追い詰めており、あと一歩という内容だった。これで対戦成績は大の里の6戦6勝だが、今場所のような相撲が取れれば勝てる可能性があると見ている。

 来場所は番付を上げ、東前頭2枚目となった。三役復帰に向けては9勝が目安になってくる。そして初日から役力士との対戦が続くことが予想されるので、一番でも多く勝って勢いに乗りたい。3月場所はご当所で迎えるので三役で地元に戻れるか注目である。