2021年11月場所個別評価 正代

 今場所は9勝6敗という成績だった。黒星スタートとなったが前半戦は5勝3敗で折り返した。そして後半戦は9日目に遠藤に敗れるも10日目からは連勝し、12日目に勝ち越しを決めた。しかし終盤は連敗し、2桁勝利には届かなかった。また割崩しが行われたため、照ノ富士戦は組まれなかった。

 内容に関しては大関としての役割を果たしたとは言えないが先場所よりは前に出る相撲は取れていたと思う。一気に前に出て勝負を付けた相撲も何番かあった。一方負けた相撲に関してはやはり立ち合い負けが原因である。初日の大栄翔戦は立ち合いの圧力が勝っていれば右からの突き落としが決まっていたと思うが残され、最後は押し倒された。5日目の隠岐の海戦は立ち合いからすぐに相手得意の左四つに組み止められた。完敗である。6日目の隆の勝戦は最初の一番は隆の勝の勝ちにも見えたが物言いが付き、取り直しに。しかし審判部の「情け」も空しく取り直しの一番も寄り切られた。9日目の遠藤戦は前に出るも回り込まれながら突き落とされた。立ち合いの圧力が伝わっていないのでこういった引き技を食ってしまう。

 しかし大関としては物足りないものの、先場所は11日目、今場所は12日目に勝ち越しを決めている。そして本人が取り組んでいる立ち合いの圧力の強化の成果は出ていると思う。今後も継続して取り組んでほしいところだ。また以前の正代は土俵際での逆転勝ちが多かったが今は対戦相手に動きを研究されており、前に出て勝つしかないといった状況である。前に出る圧力を増すのは勿論、土俵際に追い込まれないような相撲を取るといったことも求められる。

 さて今年の正代は2桁勝利が1回のみということで大関としては物足りない成績に終わった。腰高という欠点を突かれる相撲も多く、今後に向けても大幅な進化がない限り、優勝争いは勿論、2桁勝利も難しいといった印象である。大関なので批判されるとは思うが、上を目指すのではなく、目の前の相撲に集中して勝ち越し、大関の座を守るというのが現実的である。ただ今場所のような相撲が取れれば勝ち越しは問題ないと言える。

 来場所はやはり大関なので2桁勝利は目標にしたいところだ。そのためにはやはり前半戦の取りこぼしをいかに少なくするかがポイントである。立ち合いの当たりを強くし、一つでも取りこぼしを少なくしたい。そして大関として存在感を見せたい。今は役力士の数自体が少ないので奮起が求められる。