2022年3月場所を振り返って 優勝争い その2

 12日目は若隆景は琴ノ若と、そして高安は御嶽海との対戦となり、いずれも1敗力士と2敗力士の取組となった。若隆景と琴ノ若の一番は立ち合いから琴ノ若が左を抱えながら前に出たが若隆景は下がりながらも右を差し、琴ノ若の圧力を止めた。その後動きが少し止まったが最後は若隆景が左からおっつけながら寄り切り、1敗を守った。高安と御嶽海の一番は立ち合いで高安が意表を突いて右四つに組み止めたのが全てだった。そして高安は土俵際の突き落としを警戒しながら最後は寄り切った。高安は左四つ十分の力士だが、右四つでも相撲が取れるタイプの力士である。また負けた翌日に相手の心理を考えながら相撲が取れていたという点で精神的な成長を感じた。これで1敗は若隆景と高安、そして2敗がいなくなり、3敗が御嶽海と琴ノ若となった。マッチレースの様相を呈してきたがまだ3日間残っている。何が起こるか分からない。

 13日目は若隆景は御嶽海と、そして高安は貴景勝との割が組まれた。若隆景と御嶽海の取組は立ち合いで御嶽海がまさかの左差し。そして右を抱えると一気に寄り切った。おそらく若隆景は押してくることしか頭になかったと思う。御嶽海の作戦勝ちである。そして御嶽海にとっては前日高安にやられたことを別の力士に仕掛けたというのが面白い。これは精神的にゆとりがなければできることではない。若隆景にとっては速攻相撲で負けた上に軽量を突かれた一番でもあった。相撲自体は悪くなく、若隆景は気持ちを切り替えるしかない。ただ優勝争いに向けては痛い一敗となった。

 そして高安と貴景勝の取組は予想通り壮絶な押し合いとなった。貴景勝にも大関の意地がある。簡単に負ける訳にはいかない。しかし高安は貴景勝の突き押しをこらえ、押し返すと貴景勝の動きが鈍ったところで左を差し、右上手を取ると上手投げで転がした。これで高安が単独トップに立ち、初優勝に向けて大きく前進した。また琴ノ若は正代に勝ち、3敗を守った。これで1敗は高安、2敗は若隆景、そして3敗は御嶽海と琴ノ若という展開となった。

続く