勝負はここから! 熱海富士 師匠の紹介その3

 現在の部屋の状況に関しては横綱を含めて関取が6人おり、一大勢力を築いている。また熱海富士や尊富士など将来が有望な若手力士がおり、この勢いは当分続きそうである。

 稽古は厳しく、誰が何番とったかというのを他の力士やマネージャーなどがチェックしているという環境である。少なくとも番数に関しては伊勢ヶ浜部屋を超える部屋はないものと思われる。そして照ノ富士は「出稽古はいつでもオーケー。誰も来ないけど」と明かし、関取衆の出稽古を歓迎しつつも最近はほとんど来ないという状況をほのめかした。私が知る限りでは大関獲りの頃の霧島くらいである。

 素晴らしいのは翠富士や照強のような小兵力士でも基本的には前に出る相撲を取っていることである。叩きやいなしは前に出た後ということで指導が徹底されている。また前に出なければ相撲は勝てないというのがよく分かっている。

 その一方で2022年12月26日に部屋の二名の幕下以下の力士が別の幕下以下の力士に対して暴行したという事案が判明した。結局二人のうち一人は引退し、もう一人は二場所出場停止となった。また暴行された幕下以下の力士は親方へ相談した形跡が見られなかったようだ。師匠はコンプライアンス委員会に暴力行為防止に対する指導を行っていたと主張した。しかし継続的な暴行が行われていたことから降格の懲戒処分が相当とされた。ということで最終的には理事から役員待遇委員に二階級降格となった。

 師匠は現在63歳であり、来年7月が停年である。また最近は世間の価値観が大きく変わり、それに伴い大相撲界問題があった時は第三者委員会が動くようになった。確かに師匠に監督責任があるのは明らかである。しかし年齢的にも世の中の流れに対応できなくなるのは仕方がないという一面もある。また暴力は良くないことだが、厳しい部屋だからこそ番付が下の力士がそのひずみで暴力に走ってしまうというのも分からなくはない。そういった意味では潮時なのかもしれない。流れ的には照ノ富士が部屋を継承することになりそうである。

続く