2022年1月場所個別評価 石浦

 今場所は11勝4敗の好成績だった。前半戦は4勝4敗で折り返した。そして後半戦は全て白星を並べた。11勝は十両時代を含めても自己最多。そして2桁勝利は新入幕で敢闘賞を受賞した2016年11月場所以来5年ぶりとなった。

 内容に関しては相手の懐に入っての投げ技が光った。2日目の佐田の海戦は立ち合いから左は差さず、ハズにかけていたが一気に左を深く差すと下手投げで転がした。7日目の天空海戦は立ち合いで左上手を求めると鮮やかな裾払いが決まった。9日目の剣翔戦は立ち合いから左を深く差すと下手ひねりで200キロの巨漢を転がした。そして13日目の王鵬戦は押し込まれるも左を深く差すと相手の懐に入って3回ぐるぐる回った。その後食らいついた状態で内掛けで揺さぶりをかけ、最後は下手捻りで仕留めた。やはり小よく大を制すは相撲の醍醐味である。素早い動きで体格差のある力士を転がし、尻もちをつかせていた。石浦は体重115キロの小兵力士だが、小兵力士の割には普通に押したり寄ったりすることが多く、正攻法が多いと言っていいタイプである。そんな石浦が投げ技を次々に決めたのは少し意外でもあった。それでも基本は左差しであり、今場所は得意の形に持ち込めたのが大きい。また以前は奇襲を仕掛けて墓穴を掘る内容もあったが、今は立ち合いで変化する事さえ少なく、まともにぶつかる相撲が多い。年齢は32歳になったが衰えは全く見られない。

 3月場所は自己最高位を更新し、西前頭5枚目という番付となった。役力士と対戦する可能性もありそうなので今から非常に楽しみである。おそらく対戦相手は様子を見てくると思うので左を差してから懐に入る相撲を存分に取りたい。千秋楽の玉鷲戦のように差して一気に前に出る相撲が取れれば全く歯が立たないということはないと思う。負けても失うものはないので思い切った相撲を期待したい。