2022年1月場所個別評価 阿武咲

 今場所は10勝5敗の好成績だった。4連勝スタートとなり、前半戦は6勝2敗で折り返した。そして後半戦は役力士にぶつけられ、9日目から連敗したが11日目からは連勝し、14日目は明生を破って白星を2桁に乗せた。

 内容に関しては引き技で多く勝っていた印象があるが、プラスに考えれば横への動きが速かったのが2桁勝利の要因である。4年前に右膝を痛めてからはなかなか本来の動きを取り戻せないでいたが、今場所はその動きが少し戻ってきたような気がする。また7日目は阿炎のもろ手突きを下からあてがい、左からの突き落としで阿炎に初黒星を付けた。12日目は優勝争いの先頭を走っていた御嶽海相手に立ち合いから鋭く踏み込んで突き放すと左に体を開いての引き落としが決まった。13日目の正代戦は突き放すも正代に左を差され、寄られたが右からの首投げで逆転勝利となった。いずれも動きの速さが勝因と言える。欲を言えばスピードを横の動きではなく、前に出る方向で活かしたいところだ。

 来場所は4年ぶりとなる三役復帰は微妙である。いずれにしても初日から上位力士と対戦する番付となる。また過去を振り返ると初日から上位力士と対戦すると黒星が増え、そのままの流れで千秋楽までいってしまうことがよくある。上位力士に勝てないのは仕方がないが、役力士との対戦が終わる後半戦は気持ちの切り替えが必要である。星勘定は気にせず、立ち合いでぶちかましてからの速い相撲に集中してほしいところだ。番付的には試金石と言える場所となりそうである。