2022年1月場所個別評価 照ノ富士

 今場所は11勝4敗という成績だった。優勝すれば栃木山以来103年ぶりとなる新横綱からの3場所連続優勝となるところだったが快挙とはいかなかった。

 前半戦は7勝1敗で折り返した。6日目に玉鷲に突き落としで敗れ、連勝記録は23でストップした。そして後半戦は白星を伸ばすも12日目に明生に敗れて2敗目。そして14日目は優勝争いに向けて非常に大事な一番だったが阿炎に押し出しで敗れて3敗となった。一方同じく2敗だった御嶽海は2敗を守り、千秋楽を前に単独先頭を許した。千秋楽の御嶽海戦は勝てば25年ぶりとなる優勝決定巴戦になるところだったが勝てる力は残っていなかった。結局御嶽海に敗れ、優勝を逃した。

 内容に関しては先場所同様、横綱として受けて立つ相撲を取っていた。それでも玉鷲戦はらしくない相撲だった。勿論のど輪から右おっつけに切り替えた玉鷲の相撲は上手かったが、それにしても突き落としにあっさりと手を付いてしまった。既にこの時点で足の状態が良くなかったのかもしれない。そして明生戦である。不十分な体勢で前に出たところを右に変わられ、肩透かしで敗れた。また土俵下に落ちた際足を気にする素振りを見せた。更に足の状態が悪化した可能性がある。そして翌日からは右足は足袋を履いて土俵に上がっていた。部屋付きの安治川親方によると膝に加えてかかとも痛めたみたいだ。14日目の阿炎戦は受けて立つ相撲を取ったものの相手の攻めを受け切れず、あっさりと土俵を割った。千秋楽の御嶽海戦は勝てば決定戦だったものの、ただでさえ両膝に爆弾を抱えている照ノ富士にとっては1日2番取るのはしんどい。おそらく気力だけで土俵に上がっていたものと思われる。理事長の言うとおり千秋楽まで優勝争いに絡んでおり、役割は果たしている。

 足の状態に関しては勤続疲労だけでなく、寒さも原因として挙げられる。今年の東京は平年気温より低く、特に朝晩の冷え込みが厳しい。照ノ富士に限らず、古傷を持っている力士にとってはより辛い季節になっている。関節に限らず、筋肉に関しても暖かいに越したことはない。

 さて来場所だが気持ちを切り替えて優勝争いをしたい。まずは足の治療が第一だが、次は3月で気温は上がってくるので足の状態が良くなると私は見ている。御嶽海が大関に昇進したものの主役の座はまだ譲れない。当然だが優勝争いだけでなく、優勝という結果を期待したい。