2025年5月場所個別評価 朝紅龍
今場所は西前頭17枚目だったが10勝5敗の好成績だった。前半戦は2日目から4連勝するなどして6勝2敗で折り返した。そして後半戦も白星を伸ばすと11日目は狼雅を小手投げで破り、幕内初勝ち越しを決めた。その後14日目は阿武剋に勝ち、勝ち星を二桁に乗せた。千秋楽は勝てば敢闘賞受賞という一番だったが遠藤に敗れ、初受賞を逃した。
内容に関しては押してから懐に入る相撲で白星を挙げていた。また入幕3場所目で勝ち越したが、負け越した2場所も能力は通用しており、15日間トータルで結果を残せるかという部分だった。そして本人が語っていたが東京場所での幕内も初めてであり、慣れた治療を受けられるというのもプラス材料だったかもしれない。
6日目の錦木戦は当たって左前廻しを取るも切られ、左を差されて前に出られた。しかし体勢を立て直して左からおっつけて前に出ると懐に入り、最後は押し出した。錦木が引いたとはいえ、押し切れるあたりは地力強化の証と言える。9日目の竜電戦は突き起こしてすぐに左下手を取った後深く差し込み、投げで崩して土俵の外に運んだ。体重123キロの小兵力士であり、短い相撲で料理したという意味では理想的な内容だった。そして14日目の阿武剋戦は左に変わっていなした後すぐに左を深く差した。両廻しとも与えず、右おっつけで揺さぶった後、左下手投げで這わせた。立ち合いで二度突っ掛けられており、ずれたら頭を上げるだろうと思って変化したみたいである。そしたら思惑通り懐に入れたらしい。終盤でも冷静に相撲を取れるあたりは場所前の出稽古の成果と言えるかもしれない。
来場所は自己最高位を更新するが勝ち越しを期待したい。小兵力士なのでまずは怪我なく本場所に臨みたい。そして今場所のように白星先行で勝てる時に勝っておきたいところである。次は幕内定着が目標であり、同部屋の元大関朝乃山が入幕するまでは幕内の地位を維持したい。
最近のコメント