2025年5月場所個別評価 嘉陽

 今場所は東前頭16枚目であり、新入幕の場所だったが7勝8敗で負け越した。4連敗スタートとなったが5日目は十両の宝富士を叩き込み、新入幕初白星を挙げた。その後は連勝し、4勝4敗で前半戦を折り返した。そして後半戦は連敗するも11日目からは3連勝し、勝ち越しに王手を懸けた。しかし終盤は連敗し、千秋楽に負け越しが決まった。

 さて嘉陽を紹介したい。嘉陽は沖縄県那覇市出身で中村部屋所属であり、年齢は25歳である。また身長171センチ、体重174キロであり、突き、押しを得意としている。日体大出身であり、2022年5月場所で三段目付出しでデビューした。また十両の白熊は中学~大学、そして二所ノ関部屋時代の同期であり、横綱に昇進した大の里は同じく中学からの1年後輩であり、非常に仲が良い。

 内容に関しては攻め込まれながらも左に回り込む相撲で白星を挙げていた。また回り込むスピードが速く、回り込みに関しては幕内でも通用することを証明した。5日目の宝富士戦は押し込まれたものの右を手繰って左へ回り込み、叩き込んだ。嘉陽らしい取り口だった。8日目の時疾風戦は時疾風の攻めを左に回り込んでかわすと右を手繰って左上手を取っての投げで這わせた。回り込む速さだけでなく技も繰り出せるのが持ち味である。そして13日目の熱海富士戦は鋭く踏み込んで二本差すと左へ回り込む熱海富士を逃さず寄り切った。相手が見ながら立つと見ると二本差しての速攻相撲もある。過去を見ても比較できる力士は見当たらず、個性派と言える。また終盤の連敗はいずれも番付上位の力士が相手であり、仕方がないと見ている。

 負け越しはしたものの下に番付が2枚残っており、幕内残留となりそうだ。来場所は改めて勝ち越しを狙いたい。身長が低いので増量は決してプラスとは言えないのだが、それでも体重が増えているのは力を付けている証拠でもある。少なくとも幕内の土俵で楽しませてくれる存在になりそうだ。